建設業界のスマート化を進める「Fab-Union」が資金調達 「双炭」政策も追い風に 

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建設業界のスマート化とデジタル建築技術を手掛ける「一造科技(Fab-Union)」がこのほどエンジェルラウンドで1000万ドル(約12億円)以上を調達したことがわかった。「雲啓資本(Yunqi Partners)」が単独で出資し、「青桐資本(Phoenix Tree Capital)」が財務顧問を務めた。今回調達した資金はハードウェアとソフトウェアの開発や、マーケティングの拡大、人材採用などに充てられる。

一造科技は、人が設計してからロボットが製造するまでのプロセスをプラットフォームを通してシームレスにつなげることで人とロボットが連携可能な製造モデルに注力している。FURobotという建築ロボットのプログラミング用プラットフォームと、プレハブ工法(あらかじめ部材を工場で生産・加工し、建築現場で組み立てる建築工法)による組立及び現場での建設に対応したハードの開発プラットフォームを運営。15種類以上の材料にスマート建築技術を応用することができ、国内外の多くのプロジェクトで利用されている。

長期的に見て、中国の建設業市場全体のポテンシャルは非常に大きい。中国では2021年の建設業総生産額が29兆3000億元(約556兆円)と国内総生産(GDP)の約25%を占めている。中国政府が掲げる「双炭(カーボンピークアウト、カーボン・ニュートラル)」の目標のもと、産業の「質の高い発展」は国と建設業界の共通認識となっており、建築のデジタル化、スマート化、情報化のニーズがすでに産業転換の実質的な原動力となっている。このため、AIを活用した設計や建築ロボットがトレンドとなり業界に大きなチャンスをもたらしている。

建築ロボット関連の企業は三種類に分けられる。まずは人の作業を代替するロボットを手掛ける企業。使用場面は主に工事現場だ。「博智林機器人(Bright Dream Robotics)」「蔚建科技(WE I BUILD)」「帕梅艾爾」などが開発した壁面塗装を行う内装ロボットや鉄筋の裁断、組立ロボットが挙げられる。次に、従来の製造業を進化させて建築関連の工場のスマート化やアップグレードに注力している企業。最後に、設計から施工まで総合的な観点から従来の建築工法を変える企業だ。これには例えば3Dプリント技術などが挙げられる。

建設業界に多い前二者の企業とは異なり、一造科技は脱工業化とポストヒューマニズム時代の社会に照準を合わせている。産業チェーン全体を統合して開発と実践を一体化させ、自社開発のSaaSとPaaSを組み合わせたソリューションを磨いている。

従来の建設業界の産業チェーンは長く複雑で、どのように中間プロセスを短縮してロスコストを低下させ、生産効率を向上させるかが問題だった。一造科技の韓力CEOによると、同社は設計データの統合を通し、ソフトウェアプラットフォームをハードウェアに直接接続して生産を行うことで、データのやり取りという中間プロセスをカットするという。

建設業界では一つのプロジェクトの計画から解体までの期間が長いことを考慮し、一造科技はまずソフトとハードの技術を開発し、技術の標準化を行った。それから典型的なプロジェクトを完成させ、徐々に規模を拡大して全体的な技術の実用化を行った。現在同社はすでにコンクリート造、木造、3Dプリントなどの分野で建築ロボットを実用化している。

一造科技の技術の実用例

一造科技の技術はここ数年の間、市場でも高い評価を受けている。これも出資者が注目する点の一つだ。同社は浙江省烏鎮の「互聯網之光博覧中心」、江蘇省南京市のテーマパーク「歓楽谷(Nanjing Happy Valley)」、同省のホテル「園博園麗笙精選酒店」など国内外の有名なプロジェクトに多く関わっている。

同社には建築ロボットの開発センターがあり、30台以上のロボット設備がある。韓CEOは、同社は建設業の全ライフサイクルにわたるスマート建築技術とサービスの提供が可能だとしたうえで、今後もさまざまな要望に応えられるよう能力を磨いていきたいと述べた。建設産業チェーンのどのプロセスでも利用できるスマート設計と建築ロボットのソリューションを構築していく。その中で建設産業の川上、川下の企業と提携し、「双炭」の実現や環境に優しく安全な建設、スマート化した柔軟な生産のためにさらなる貢献をしていきたいという。

(翻訳・山口幸子)

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