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AI(人工知能)を搭載したカメラを開発する「睿魔智能科技(深圳)」(以下、Remo Tech)が、シリーズBでセコイア・キャピタル・チャイナのシードファンド、中銀国際傘下の渤海中盛、光遠資本(Forebright Capital)から資金を調達した。資金はAIやロボット技術のイノベーションのほか、カメラロボットの製品化に充てるという。
2016年に設立されたRemo Techは、AIとロボット技術を活用した映像撮影体験の向上に注力している。深圳市に本社を構え、杭州市にアルゴリズム開発センターを設けている。現在、150以上の国や地域で製品を提供しており、海外市場での販売がメインだ。プロ仕様の高性能AIカメラ「OBSBOT Tail」、一般消費者向けAIカメラ「OBSBOT Tiny」、自動追尾スマートフォンスタンド「OBSBOT Me」などのシリーズを展開している。
高性能AIカメラのOBSBOT Tailは、AI追尾とスマート構図アルゴリズムをベースに、自動構図決定、ジェスチャー認識などの機能を備えている。最大40メートル離れた被写体を追尾でき、水平方向の追尾速度は1秒間に最高180°を実現した。
OBSBOT Tailは動きの速い被写体を見失っても再追尾できる自動ロックオン機能や、画面をダブルタップするだけで撮影ターゲットの選択・切り替えが可能なタップロック機能を実装しており、長回しやペットの撮影などに向いている。
AI画像処理には、1秒間に5兆回の演算が可能な5TOPSニューラルネットワーク技術を採用している。OBSBOT Tailはそのターゲット認識や自動追尾、ジェスチャー操作、画像品質などが評価され、米タイム誌の「2019年の発明品ベスト100」に選ばれた。
OBSBOT Tinyは4K/30fpsと1080P/60fpsの動画撮影に対応し、1/2.8インチのソニー製イメージセンサーを搭載している。自動HDR+、オートフォーカス、自動構図決定、自動追尾、ジェスチャー操作、カスタム追尾などの機能を備えるほか、双方向ノイズキャンセリングマイクを搭載し、オンライン授業やライブ配信、ビデオ会議などに適した製品となっている。ケーブルでパソコンに直接接続でき、マグネット式スタンドやプラグアンドプレイで手軽に使用できるのが特徴だ。
折りたたみ式の自動追尾スマートフォンスタンドOBSBOT Meは、120°広角センシングレンズを搭載し、アルゴリズムを活用した自動追尾、自動構図決定、ジェスチャー操作などの機能が備わっている。専用アプリのダウンロードやBluetooth接続は必要ない。折りたたみサイズは68×56×145mmとコンパクトで、一般的なカメラの三脚に使用されている1/4インチねじ穴を備えている。
Remo Techの劉博CEOは、同社の優位性は製品のコストパフォーマンスに現れていると語る。例えば、プロ向けおよび企業向けモデルにピント固定や自動追尾などAIを駆使した機能を実装すると、価格が数千ドル(数十万円)を超えることもある。他社の同価格帯の製品と比べると、同社のOBSBOTシリーズは自動追尾や構図決定、認識、姿勢や行動分析などの技術・性能面で優れている。
コストパフォーマンスの向上について劉CEOは、同社が現時点でカメラシステム、雲台、電子製品の設計や製造に関わる特許51件、発明特許56件、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許7件を取得していることを明らかにした。価格面でも、多年にわたるアルゴリズムの蓄積によりチップやセンサーに必要なスペックが下がり、コストダウンにつながったという。5~6年前に人物自動追尾機能を実装しようと思えば、消費電力10W、5000元(約10万円)ほどのグラフィックカードが必要だった。Remo Techはこの6年間にアルゴリズムの改良を進めた結果、演算能力の低い数十元(数百円)のチップでも、アルゴリズムを追加することで期待通りの画質とインテリジェントレベルを実現することに成功した。
目下、顧客の製品用途はリモートワークが50%以上、オンライン教育が30~40%、残りがライブ配信となっている。今後はリモートワークとオンライン教育の分野でさらに開拓を進め、ビジネス向け・プロ向けの製品を拡大していくという。引き続き海外市場をメインに展開し、今年は昨年の4~5倍の売上高を見込んでいる。
(翻訳・畠中裕子)
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