世界トップレベルの3Dカメラ、半導体などの精密機器の検査で活躍 見逃し率0.1%未満

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産業用3Dライトフィールドビジョンのトップメーカー「奕目科技(VOMMA Technology)」が、プレシリーズA+で数千万元(数億円)を調達した。「経緯創投(Matrix Partners China)」が単独で出資した。調達した資金は商品プロモーションや新シリーズの生産ライン拡充に使い、3C製品(コンピューター、通信機器、家電)や半導体、VR/AR、新エネルギー、航空宇宙等の3D自動検査におけるライトフィールド技術の普及を加速する。

奕目科技は2019年設立、上海交通大学の研究成果をもとに誕生した国内最先端の高性能ライトフィールドイメージングシステムのプロバイダーだ。同社は上海交通大学の協力のもと、ライトフィールド技術の様々な課題を克服し、光学設計、マイクロ・ナノ加工、チップパッケージング・検査、アルゴリズム、産業用3Dソフトウェアなど、ライトフィールドカメラに関わるあらゆる分野のコア技術を確立した。製品は多くの大手企業のテストに合格し、生産ラインに導入されている。

産業用3D検査分野で現在主流とされている技術は、ステレオビジョン、ストラクチャード・ライトによるイメージング、共焦点、レーザー三角測量などで、こうした技術を応用した製品はすでに高い完成度にある。しかし、装置が複雑で、照明や追加の変位計が必要となることや、検出率が低く、使用範囲が限られているといった欠点がある。こうした3D検査手段では、微細な金属材料や透明材料内部の欠陥などの細かなニーズに応じた検査を行うことは困難だった。

これに対し、VOMMAのライトフィールドカメラは、「カメラひとつ、ワンショット、深い被写界深度の3Dイメージング」という独自の特長を持ち、ワンショットで3Dライトフィールド情報を記録し、透明、薄い、微細などの特殊な製品を正確に計測することができる。

ディスプレイの検査では、深度測定により例えば引っかき傷が何層目にあるといった情報が得られ、内部欠陥の積層検査漏れ率は0.1%未満となっている。チップパッケージング検査では、髪の毛ほどの太さの金線の3D形状から断線、異常など極めて小さな欠陥の有無を判断することができる。1時間当たりの処理数(UPH)は最大1万個以上、検査漏れ率は0.01%未満だ。また、リチウム電池や3C製品については、マルチビュー・ライトフィールドイメージングにより、直接見ることのできない凹凸や引っかき傷などを浮かび上がらせて、検出率を向上させる。

航空宇宙分野でも技術の壁を破り、航空機エンジンの高温タービンブレードにある複雑なフィルム冷却孔の3次元構造を初めてオンラインで高精度に検査することができるようにした。この技術は軍で導入されている。

ライトフィールドカメラは新世代の3Dイメージングデバイスだ。昆虫の複眼の構造を再現して、数千万個の独立した視野角を持ち、1度の撮影で任意の視野角、任意の焦点、3Dモデリングを可能にする。コンピュターイメージング、マイクロ・ナノ製造、チップパッケージング、ディープラーニングなどの専門技術を結集したもので、技術的、工学的にはまだ多くの課題がある。

奕目科技VOMMAライトフィールドチップは昆虫の複眼の構造を模倣している

ハード面、ソフト面で多くの課題が絡むため、産業用ライトフィールドカメラシステムを製造できるメーカーは世界でも極めて少ない。奕目科技は産業用ライトフィールドカメラを安定的に生産できる世界有数のスタートアップだ。

同社は現在、VOMMAの LF0104、LF0206、LF0312、LF0412、LF0506など複数のライトフィールドカメラを展開している。公開情報によると、VOMMAライトフィールドカメラはZ軸方向の最大検出精度0.8μm、最大検出速度40FPS(フレームレート)を実現、マイクロレンズの数は世界トップレベルの1000万個台となっている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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