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電動スクーターなどシティーユースのモビリティツールを開発する「一英里科技(Onemile Technology、以下Onemile)」がプレシリーズBで数千万元(数億〜十数億円)を調達した。出資を主導したのは啓迪之星創投(TusStar VC)で、安吉両山双創(Anji Liangshan Shuangchuang)も出資に加わった。調達した資金で中国・北米市場の開拓を進めていくという。
短距離移動ツールは現在最も熱い分野の一つだ。電動化でエネルギー業界が変数化するなか、同分野に参入するのはEV(電気自動車)メーカーだけでなく、サプライチェーンで優位性を持つ量産品メーカー、スタイリッシュさに焦点を当てたeバイク(電動スポーツサイクル)メーカー、流行中の電動キックボードメーカーなど幅広い。いずれも一つのキーワード「短距離移動分野のDTC(消費者直接取引)ブランド」を目指している。
Onemileの名称は、市街地での1マイル(約1.6km)程度の移動、ちょっとした移動に使えることに由来しており、軽くて持ち運びしやすい次世代エネルギー型の移動ツールの開発に特化している。製品シリーズは「Halo City」など6種類を展開し、折りたたみ式の電動自転車、完全折りたたみ式の電動キックボードを開発。航続距離は30km程度から200km以上までさまざまで、欧米地域での短距離道路移動に関する需要をほぼ満たしている。
Onemileは2015年に北京で設立され、製品は現在では欧州の200以上の店舗で販売されている。サプライチェーンは北京本社、浙江省の工場、フランスのR&Dセンターで統括しており、製品コンセプト、研究開発、デザインから生産までを完全に自社で手がけている。返品率の高い欧米市場のアフターサービスは欧州チームが担っており、このことがブランドのローカライズや顧客ニーズの把握に向けた調整に役立っている。
消費者は商品にデザインの美しさ、便利さ、使いやすさを求めるものだ。Onemileは2017年にデザイン界のアカデミー賞とも称されるドイツの工業デザイン賞「レッド・ドット賞」を受賞している。Onemileを創業した于林氏によると、この時受賞したHaloシリーズは完全に折りたためる世界初の電動スクーターだ。Onemileではデザインや構造を一新することで電動スクーターを電動キックボード並みのかさと重さに収め、欧州基準を満たし、より持ち運びやすいものにした。
折りたためる電動の移動ツールを製作するには材料・構造・回路システムに高度な要件が求められるが、この折りたためるという特性こそが消費者の多くのペインポイントを解消できる要素であり、Onemileの最大の特徴でもある。
于林氏によると、新しいモビリティの形は「自動車と二輪車」を組み合わせたものが主体になってくるという。主な移動手段は自動車だとしても、補完的存在として短距離移動用の二輪車が必要だとのことだ。「弊社のスクーターは折りたたんで車のトランクに入れられる。新エネルギー車が普及し、将来的に自動運転も普及してくると、我々の車の使い方や車での過ごし方が変わってくる。多くの場合、車は充電スタンドに駐車するようになって、そこから半径2〜3kmの移動は折りたためる移動ツールが必須になってくる」と述べた。
Onemileにとっての主戦場は欧州市場で、現在フランス、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、オランダなど20以上の国で製品を販売している。于林氏によると、創業してからの7年でEU圏内ではすでに一定のブランド力を確立したという。昨年はコロナ禍にも関わらず、欧州の主要国では電動二輪車は成長率30%以上に達している。
3年かけて欧州市場を開拓したOnemileだが、次はより充実した製品ラインナップにローカリゼーションを加え、米国と中国の二大市場に進出する計画だ。
現状のOnemileからすると、新たな市場への進出は欧州進出時よりは容易になっている。欧州で検証済みの製品ラインナップに微調整と再構成を加えるだけで済むからだ。
多くのモビリティツールが電動化に舵を切る傾向のもと、Onemileの製品にはIoTモジュールやOTAアップデートなどさらなる技術的属性が加わった。ワンクリックで車両の各パーツの状態を確認でき、同じくワンクリックで車両の所在地も確認できる。欧州向け製品にはGPSを搭載して走行データを収集し、現在地を特定したり使い勝手を向上させたりしているという。
(翻訳・山下にか)
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