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ブロックチェーンやミニプログラムに沸いた2018年初頭と比べると、ベンチャー界の2019年の始まりは静かだった。5GやAI+IoT、インダストリアルインターネットなどは有望株だが、まだベストタイミングだとは言えない。今年、注目すべき投資テーマについて36Krが分析した。
投資テーマ1:新市場と新セグメント
新たな市場や消費者セグメントは大きな可能性を秘めている。特に、消費におけるイノベーションはインターネットの影響を最初に受けた「新中産階級」から裾野を広げつつある。
今、注目すべき傾向の一つは、Eコマースの階層化だ。新たなトラフィックから生まれた「拼多多(Pinduoduo)」や社会的供給を掘り起こすことで実現した中古ビジネスなどがその例だ。
もう一つは、新たなチャネルの台頭によりブランドへの投資が回復してきたことだ。微信(WeChat)や微博(Weibo)、TikTok、小紅書(Red)などの新たなチャネルがスタートアップブランドにとってアクセラレータの働きをするようになっている。これにより化粧品の「HomeFacialPro」や「完美日記(Perfect Diary)」に代表される新しい中国産ブランドが生まれた。
投資テーマ2:インダストリアルインターネット
インダストリアルインターネットの本質は、規模に頼る「トラフィック経済」から効率や価値を向上させる「デジタル経済」への転換である。
この点で鍵となるのが、各所に埋もれている膨大な工業データを掘り起こし、取得したデータをコスト削減やサプライチェーンとの連携など企業内外に活用することだ。
これを踏まえて36Krが注目するのは、デジタル化のための総合ソリューションを提供する事業者と工業リソース統合型のプラットフォームだ。
デジタル化が遅れていてサプライチェーンが冗長な農業や製造業、物流業などは、デジタル化やスマート化などの導入で成熟市場を改良するだけで、大きな効率アップとチャンスが見込める。
投資テーマ3:宇宙ビジネスと海洋ビジネス
AI、5G、IoT、ロボットなど技術の進歩により、宇宙ビジネスに注意が向くようになってきた。多くの投資家が宇宙ビジネスの可能性を実感するきっかけになったのが米スペースX社だ。
この数年、中国でも多くの企業が宇宙ビジネスに参入し、相次いで資金を調達している。例えば「航天科工火箭技術有限公司(Expace)」が2017年末に12億元(約200億円)を調達したのに続き、2018年初めには「零壹空間航天科技(One Space Technology)」がシリーズA+で2億元(約33億円)近くを調達、2018年4月に「藍箭航天科技(Landspace)」もシリーズBで2億元(約33億円)を調達している。競争が激化する宇宙ビジネスで生き残るには、十分な資金を調達することだ。
また海洋ビジネスでは、海洋インターネットやインターネット輸送代理などがこれからの方向性となるだろう。
投資テーマ4:バイオ医薬
バイオ企業は売り上げがゼロでも上場を許可するという香港証券取引所の新制度や、ハイテク企業向け市場「科創板」の新設など、国家の政策もバイオ医薬業界を後押ししている。さらに海外から帰国した大勢のハイエンド人材が、この先中国のバイオ医薬の発展を支えていくだろう。
しかし市場の冷え込みに加えて、政府が「4+7帯量採購(4+7都市で医薬品集中調達)」を発表したことで業界は大きな打撃を受けた。投資の負担やリスクが大きいという特性も相まって業界の再編が進むとみられる。
投資テーマ5:金融と海外事業
2019年の金融業界は「個人」から「企業」へと軸足を移していくと考えられる。中でも注目されるのは税務分野だ。国の税制改革が加速する中、多くのベンチャー企業が生まれ、既存リソースとデータを活用した税務サービスプラットフォームとエコシステムが構築されている。従来型の税務サービス事業者も変化の激しいモバイルインターネット時代に適応するため、インターネットを導入したり、既存事業の改革を進めたりしている。
そして2019年最大のキーワードは「海外事業」だ。
海外市場には満たすべきニーズや巨大市場があり、インフラ整備に伴いモバイルインターネットの急成長時代を迎えている国もある。またアリババやテンセントなどトップ企業の海外投資により、国内市場でも「海外進出」が促されている。海外なら過度な競争がなく事業を行いやすいかもしれないということに多くの人が気づくようになったのだ。
とはいえ、全ての市場が中国と全く同じ発展の軌跡をたどるわけではない。法則を理解しチャンスを掴んでいるつもりでも、失敗はつきものであることを覚えておく必要があるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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