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中国のフードテックブランド「MOODLES」が数千万元(数億円)の戦略的資金調達を完了した。伽利略資本(Galileo Venture)が主導し、既存株主である紀源資本(GGVキャピタル)や風物資本(FinWill Capital)、人山資本も参加した。MOODLESにとってはこの1年で3度目の調達となる。
MOODLESは2021年7月に設立されたばかりのフードテック企業で、新技術によってこれまでの主食のかたちを変えようとしている。3Dプリンティングや、調理を物理的・化学的に解析する「分子ガストロノミー」、現代栄養学など複数の分野にまたがる新しい技術を駆使し、消費者の食習慣はそのままに、炭水化物が多く低タンパク質、栄養効率が悪いという主食の課題を解決する。
近年、脂質をカットした食事やプロテインバー、栄養を強化したダイエットシェイクなど健康を意識した食習慣がちょっとしたブームになっている。しかし大多数の人にとっては、栄養摂取効率が大きく改善されるとしても、1日3食をそうするのは難しい。その理由は、中国の伝統的な食習慣では米飯やお粥、または麺類など小麦粉の加工品を主食とすることが多いからだ。
MOODLESのアプローチは、麺やパスタ、ご飯、ビーフンなどを健康的な製品に変身させるというものだ。分子ガストロノミーにより食材を再構築し、3Dプリンティングでタンパク質や良質な脂肪、食物繊維などの栄養素をまとめ、元の食品の見た目や口当たりを残したまま大きく進化させた新たな「スーパーフード」を作り上げた。
MOODLESの創業者である朱沛然氏は「中国人の食習慣は低タンパク質ということに加え、多様性に欠け、大量の時間とコストを費やすという課題もある」と語る。同社が提供するスーパーフードは、炭水化物を減らしただけでなく、工業化という視点から低コストで飲食のバリエーションを豊かにし、「これまで1日3食で摂取していた栄養素を、麺料理1杯で賄える」ものだという。
MOODLESの創業チームは多種多様な学問分野の専門家集団だ。商品開発については、江南大学や浙江工商大学と共同研究センターを開設、各業界から経験豊富な専門家を招き、複合栄養型主食の開発を進める計画だ。
現在同社は、筋肉増強、減量、糖質コントロール、子供向けという4シリーズの主食を開発中だ。それぞれのターゲットと要望に合わせ、カスタマイズした栄養配合システムを作った。例えば、筋肉を増やしたいユーザーに対しては、炭水化物は中程度で高タンパク質の製品を、糖質コントロールしたいユーザーに対しては低糖質でコストパフォーマンスが高く飲み込みやすい製品を提供する。また、子供向けでは特に野菜や複合栄養素を加えた配合になっている。
これまでMOODLESはサプライチェーンの川上と製品開発に特に注力していたが、今年上半期は工業化に向けた製造設備を設計、生産ラインのオートメーション化に時間を割き、配合を改善して安定した高品質の製品を製造できるようにしたという。
MOODLESが5億元(約100億円)を投資し、年産能力5200トンの生産ラインを有する初の生産拠点を安徽省馬鞍山市の経済開発区に開設したことも目を引く。すでに自社で開発した生産ラインが完成し、製造許可を取得して試験生産段階にある。9月には正式に製造開始の見込みだ。
2カ所目の製造拠点開設も準備している。計画によると、山東省の原料がコスト低減に役立つことと、現地政府が大規模な食品加工施設と巨大な冷蔵倉庫を提供してくれるということから、23年末にも第2工場の建設に着手し、生産能力は年間2万トンになると見込まれている。
販路についてMOODLESはこれまで、米・麺製品や新しいタイプの主食、ミールキットなどを大手食品会社と共同販売もしくは直接販売するBtoBがメインとなっていた。今重視すべきはGMV(流通取引総額)ではなく、サプライチェーンをブラッシュアップして安定的に生産することだと朱氏は考えている。このため今回調達した資金も主にサプライチェーンや人材確保に充てる。
3Dプリンティングを食品分野で応用する新技術として、培養肉や植物由来肉などに代表される人工タンパク質が近年注目を浴び、多額の資金が注入されている。しかし、どのような飲食スタイルが最適なソリューションなのか長期間議論が続いており、加工された食品ではなく、食材本来のかたちを変えずに栄養を摂取するべきだという考え方もある。
朱氏は、工業化と健康的な飲食スタイルは矛盾するものではなく、主食に関するMOODLESの技術革新は常識を覆すもので、栄養摂取の悩みを根本から解決することができると考えており、「現代人は効率と栄養の最適なバランスを永遠に探し続けるだろう」と語った。
MOODLESは3Dプリンティングなどの技術を応用し、カスタマイズ機能をいっそう強化する。さらにプラットフォームとして、今後3年から5年のうちには主食以外に肉類や軽食など多くの機能性食品を提供したいとしている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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