集合住宅のEV充電問題、スマート配電盤で解決 中国スタートアップ企業

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EV(電気自動車)向け充電設備を手がける「北京世紀雲安新能源」がプレシリーズAで1億元(約19億円)近くを調達した。桐曦資本、蔚来資本(NIO Capital)、国科嘉和(CASH Capital)、清新資本(Fresh Capital)などが共同で出資した。

世紀雲安は2021年設立、住宅地の駐車場にスマート配電の充電設備を建設・運営してEVの充電問題を解決している。

近年、中国ではEV向け充電設備が急成長を続けている。中国充電聯盟のデータによると、2022年10月時点で中国の充電設備は累計470万8000基となり、前年同期比109%増加した。そのうち個人所有の充電スタンドが全体の64%を占める302万8000基だった。

新エネ車の普及に伴い、住宅地が最もスピーディーで確実な充電場所になる

世紀雲安を創業した王邁氏は、新エネルギー車(NEV)の普及に伴い、住宅地が最もスピーディーで確実な充電場所になると考える。しかし既存の集合住宅では、充電スタンドを設置したくても電気容量の不足、設置の煩雑さ、火災のリスクなどの問題が立ちはだかる。「集合住宅の多くは建設時に充電スタンド用の電力需要まで考えていないため、あとから電気容量を拡張しようと思っても難しい」

こうした現状を受け、世紀雲安では集合住宅の管理会社など関係する各方面と連携して、住宅地の充電設備の企画、建設、運営を一元化する統合モデルを採用した。2022年初めに北京市のマンションで最初のモデルプロジェクトを実施している。

「私たちが目指すのは、電気容量を拡張することなく集合住宅の駐車スペース全てに充電スタンドを設置できるよう、インフラを改良して高度化することだ」と王氏は語る。世紀雲安は住宅地に充電スタンド用のスマート配電盤を設置し、フレキシブルな配電技術を活用してアルゴリズムに基づく電力の配分を行う。これにより、さまざまな時間帯に充電するEVオーナーのニーズを満たし、集合住宅の電力ひっ迫という問題を回避することができる。

世紀雲安の充電事業データプラットフォーム

世紀雲安が住宅用に提供する充電スタンドは、7キロワット・220ボルトの交流充電スタンドのほか、低出力の直流充電スタンドもリリースする予定だという。また個人用充電スタンドの共有、5G対応、レーダー機能などのサービスも提供する。

共同創業者の安碩氏によると、今年後半に「V2X」のモデルステーションを住宅地に設置する計画だという。V2Xとは車両を蓄電設備として充電スタンドを介して電力網とつなぐシステムのことで、EV間の充電や、EVから送電網への双方向給電などの技術に応用できる。つまりEVそれぞれがエネルギーを貯蔵できるスマートデバイスになるということだ。

現在、世紀雲安には約100人が在籍している。中国の不動産管理会社大手30社余りと提携して、北京市、上海市、広州市、深圳市、紹興市、昆明市などにある住宅地100カ所以上に進出しており、10万台以上の駐車スペースにサービスを提供している。王氏は2023年の目標として「全国20都市で事業を展開し、業界上位10社に食い込むこと」を掲げている。

出資に参加した蔚来資本のマネージングパートナー朱岩氏はこう語る。「EVの普及率が高まるにつれて、充電問題の解決が急務となっている。世紀雲安は帰宅後の充電ニーズに特化し、建設・運営の一元化という新たな開発モデルを打ち出した。これにより住宅地の電気容量への負担を減らし、ケーブル引き込みや充電スタンド建設のコストを下げることができるため、都市の再開発において重要な役割を担うと期待される。将来的には仮想発電所や電力取引、ビルのエネルギー管理などと組み合わせることで、住宅地の総合エネルギーに関わる分野でさらに多くの商機をつかめるだろう」

(翻訳・畠中裕子)

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