中国のビル内配送ロボ、AIが「動的ナビ」 テイクアウトも席までお届け

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中国のサービスロボットメーカー「越凡創新(Eventec)」がシリーズBで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資は天図投資(Tiantu Capital)が主導し、既存株主の猎豹移動(Cheetah Mobile)なども参加した。

越凡創新は2017年に設立され、中国「国家ハイテク企業」と四川省「専精特新企業」に認定されている。コア技術に関わる350件以上の特許と200件以上のノウハウを有し、末端配送とスマートリテールという2つのカテゴリーで、さまざまなシーンに対応する多機能なサービスロボットを展開している。同社の技術開発チームは、主に電子科技大学ロボット研究チームの出身者で構成されている。

市場調査機関の中商産業研究院によると、中国で末端配送用スマートロボットの需要量は250万台を超え、少なくとも3億人近くの消費者をカバーするという。

越凡創新は2018年に初の完全自律型自動販売ロボット「FANBOT」を、21年にビル内配送ロボット「SENDBOT」をリリースした。紹介によると、同社のロボットはこれまでに延べ4000万回以上のサービスを提供し、配送時間が400万時間、走行距離が200万キロメートルを超えたという。

SENDBOTは同社が独自開発した「人間の認知メカニズム」に基づく動的ナビゲーションシステムと、人工知能(AI)にモノのインターネット(loT)を組み合わせたAIoTシステムを搭載し、ドア、エレベーター、エントランスゲートなどの複雑なビル設備をクリアすることができる。ロボットは動きがあり密度が高く複雑なシーンで配送タスクを実行し、1台で1人分の作業をこなせる。

黄CEOの説明によると、同社のロボットはすでに多くのビルで導入されている。SENDBOTは1日当たり500件以上の荷物およびテイクアウト商品の配達に対応し、注文者に届けるまでの平均所要時間は荷物が6分、ビル低層階にある店のテイクアウトドリンクが15分で、翌週のリピート率は50%を超えたという。

同社のデータによると、中国で荷物の末端配送員は年間450万人を超えており、物流サービスを手がける順豊控股(S.F.Holding)と京東物流の決算書では、2022年の人件費が1000億元(約2兆1000億円)近くに上っている。実際の配送では、所要時間の40%は配送員がビルの中で上下100メートルを移動するのに費やされるという。つまり、この末端配送というニッチな分野において、年間400億元(約8400億円)近い人件費をロボットに置き換えることができるのだ。

同社は華潤(China Resources)、龍湖(Longfor)、万科(Vanke)など30社以上の不動産デベロッパーや物流企業、数十社を超える小売企業や販売店と提携しており、世界50カ所余りの都市で製品が導入されている。

生産面では、電子機器受託生産の富士康(フォックスコン)と長期的な提携関係を築き、専用のロボット生産ラインを設立した。また、四川省資陽市の資陽臨空経済区にサービスロボット生産ラインを建設し、毎年1万台の量産が可能になった。

*2023年11月14日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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