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中国の中高年層向けの市場規模は果たしてどの程度だろうか。中国の「全国老齢工作委員会弁公室(老齢弁)」の最新公式データによると、中国の60歳以上の人口は2億4900万人、人口比では17.9%に達しているとのことだ。シルバーエコノミーが最も活況な、かつ高齢化が最も深刻な日本のデータと比較してみよう。日本の総務省の最新データによれば、日本の65歳以上の人口は約3588万人、人口比は28.4%に上る。また昨年には60歳以上の人口が4300万人に達している。
2億4900万人の高齢者から生み出される消費ニーズは莫大であり、100兆元(約1500兆円)規模の市場に成長する可能性を秘めている。上記の老齢弁の過去の予測では、2014~2050年の間に、中国の高齢者人口の消費ポテンシャルは約4兆元(約60兆円)から約106兆元(約1600兆円)に、またGDPにおける割合は約8%から約33%に上昇し、高齢者向け産業において最大の市場潜在力を有する国になるという。
オンライン業態
中高年層の生活習慣という観点からも、シルバーエコノミーはオフライン重視、サービス重視であるのは間違いない。来年には1960年代生まれの人々も60代に突入する。とはいえ、彼らはインターネットにかなり慣れ親しんでおり、WeChat(微信)の使用頻度も高い。テンセントの公式データによれば、昨年9月時点で55~70歳のユーザー数は6100万人に達している。36krは過去にWeChatミニプログラムがシルバーエコノミーに与えた変化について分析を行ったが、コンテンツ・情報系、ツール系およびゲーム系のミニプログラムが高齢者によるアクセスの恩恵を最も受けているとの結論に至った。
中国のモバイルインターネット調査会社「QuestMobile」の2019年ミニプログラム半期レポートをみると、高齢者に人気のミニプログラムは、実用性の高いツール、動画・音楽、ニュース・情報関連のものがメインであり、我々の分析結果を裏付けるものとなっている。そのうち、広場ダンス用アプリ「糖豆(Tangdou)」はミニプログラム版「糖豆視頻」もリリースしており、主にダンスを見て学べる動画コンテンツと動画作成機能が利用できる。派生して他にも複数のミニプログラムを展開しており、アプリ自体に利用者を誘導する役割も果たしている。糖豆を手掛ける「夢之窗数碼科技(Dreamwindows Digital Technology)」は2015年に創業され、すでに累計1億ドル(約110億円)超の資金調達を終えており、テンセントや「IDG資本(IDG Capital)」も投資に加わっている。
オフライン業態
中高年向けのオフライン業態に対する市場の関心は、これまで主に高齢者福祉産業に向けられていた。だが日本やアメリカなどの成熟した市場を参考にすると、生活関連消費をめぐるオフライン業態には依然として大きな発展の余地があることが分かる。
日本の上場企業コシダカホールディングスを例に挙げると、同社傘下の日本最大のカラオケチェーン店ブランド「カラオケ まねきねこ」は、すでに日本国内で500店舗を展開し、韓国、シンガポール、マレーシアにも進出している。また同社が展開するフィットネスチェーンジムの「カーブス」は、中高年の女性にターゲットを絞っており、現在では83万人の会員を抱え、店舗数は2000店を突破している。実は店舗の30歳以下の女性会員比率はわずか1%にすぎない。カーブスはまさにブルーオーシャン戦略の成功例といえよう。
一方で中国国内では、シニア層に特化した娯楽サービスにおいて、革新的なオフライン業態は相対的にまだ少ない。とはいえ、今年に入り「シニア大学」が投資機関の注目分野となっている。シニア大学では、合唱、楽器演奏、ダンス、料理といったクラスを受講でき、教育というよりむしろ消費やレクリエーションサービスの一環であると理解できる。利用者は50~65歳の女性がメインだ。
コンシューマー製品
安定した需要のある既存の消費者向け製品の市場は大きい。シルバー層向けブランドの典型例である靴ブランド「足力健」は2015年に開業し、現時点で中国全土に5000店以上の専門店を抱え、イメージキャラクターを起用した広告やテレビCMの投入により立ち上げ期の集客に成功した。その後は大々的なフランチャイズ事業を展開し、集中的なオフライン販路を通じてターゲット消費者にリーチしてきた。現時点では、車椅子、歩行支援ロボット、Bluetooth機能付き補聴器およびスマート補聴アプリなどが有望なコンシューマー製品だと考えられる。
(翻訳・神部明果)
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