広東・香港・マカオビッグベイエリア、中国のイノベーション拠点に 人材集積も加速

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中国の香港・マカオ両特別行政区と広東省の9都市からなる「粤港澳大湾区(広東省・香港・マカオビッグベイエリア)」が科学技術のイノベーション拠点として存在感を増し、人材を引き付ける力を高めている。

「この1年でかつてない起業の喜びを感じ、夢がかなう達成感がよく分かった」と語るのは、1年前に米プリンストン大学の教職を辞し、深圳医学科学院の設立のために広東省深圳市にやって来た女性生物学者の顔寧氏。今月18日に同市で開催された「広東省質の高い発展大会」で、大湾区での起業の実感を語った。

深圳に来てからの1年で、初めは何もなかった仕事場所は先進的な実験室へとたちまち姿を変えた。神経疾患や精神疾患、感染症、神経生物学などの医学分野の優秀な人材数十人が集まり、独立して実験室を率いるようになった。顔氏もこの間、深圳湾実験室の主任を務めるようになり、中国科学院院士(アカデミー会員)にも選ばれた。

深圳医学科学院のある光明区では、情報、生命、新素材の3分野に重点を置いた科学都市「光明科学城」建設を深圳市が全力を挙げて推進している。合成生物学研究用の大型装置が稼働するほか、科学技術イノベーションを担う20以上の施設の建設が活発に進み、広東・香港・マカオの3地域から20余りの院士チームと5400人を超える科学研究人材が結集、イノベーションのペースを更新し続けている。

2019年2月に発表された「粤港澳大湾区発展計画綱要」は「国際科学技術イノベーションセンターの建設」を明確に打ち出した。同綱要の施行から5年で、広東・香港・マカオ3地域の科学技術協力は着実に深まった。データや資金、人材などの科学技術要素の流れが加速し、大湾区の科学技術イノベーションの実力と魅力は高まり続けている。

香港科技大学の葉玉如学長は、香港には強大な科学研究能力と国際金融センターの地位がある一方、深圳や広州など広東省の9市は産業体系とサプライチェーン(供給網)が整い、広大な内地市場とつながっていると指摘。広東・香港・マカオの科学技術イノベーションでの優位性は相互補完的なもので、全国さらには世界中のイノベーションリソースを統合し、世界的なイノベーションエコシステムを構築できるとの見方を示した。

深圳と香港の境界には河套深港科技イノベーション協力区が設けられている。深圳側の深圳園区(河套深圳園区)では今月4日、中国送電大手・南方電網傘下の深圳供電局による「バウヒニア」型のループ方式配電システムの運用が国内で初めて始まった。ハイテク企業や研究機関、実験室などが必要とする、信頼性、連続性、安定性の極めて高い電力供給が可能になった。

河套深圳園区ではすでに約80万平方メートルの優れた科学研究スペースの整備・改修、11の専門エリアの建設が完了。フォーチュングローバル500の入選企業による研究開発センター7社、国家級主要科学研究プラットフォーム10個、香港の高等教育機関が持つ科学研究機関10機関、ハイエンド科学研究プロジェクト160件以上が集まっている。

同園区で電子顕微鏡の研究を手がける香港城市大学福田研究院の陳福栄院長は「(香港の)大学から車でたった30~40分の距離」であることが同園区の利点の一つになっていると語る。イノベーションには一瞬のひらめきと衝動が必要になる。「香港でアイデアを思いつくとすぐにここの実験室に来て試すことができる」のだという。

大湾区にはここ数年、先端的な科学研究リソースが加速度的に集まり、イノベーションの火花を生み出している。世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2023年版グローバル・イノベーション・インデックス(GII)の「科学技術クラスター」ランキングでは、深圳・香港・広州クラスターが4年連続で世界2位となった。

大湾区の域内総生産(GDP)に対する研究開発投資の比率は3・4%を超える。研究開発投資、有効発明特許数、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願件数などの主要な科学技術指標で全て国内1位を維持している。(新華社深圳)

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