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物流専門メディア「運聯網(wetuc.com)」によると、業務目的で使われる商用車約4000万台のうち約8割が物流用車両だという。新たな投資分野として注目されているのは、そのアフターサポートマーケットだ。市場規模6000億元(約9兆円)のうち修理メンテナンスが3~4割を占めるという。
ここに目を付けたのが、貨物自動車の修理メンテナンス・プラットフォーム「共軌之家(Common rail system’s family)」を運営する「上海星融汽車科技」だ。同社の技術サポートアプリは登録ユーザー数40万で、この数字は修理メンテナンス技術者の67%に相当する。毎月平均16万台の修理メンテナンスを技術面からサポートしている。
貨物自動車は一般の乗用車と比べ頻繁にメンテナンスが必要で、そのコストは1台当たり年間2~3万元(約30~45万円)と高額だ。中国に約20万カ所あるといわれる修理メンテナンス工場は、そのほとんどが小規模で数人の技術者だけで対応しており技術レベルにも差がある。
トラックは車両のインテリジェント化や排気ガス基準の強化によってメンテナンスの難易度も上がっている。このニーズをとらえた共軌之家は修理メンテナンスの技術サポートをプラットフォーム化。17万件にも上る修理メンテナンスの膨大なナレッジベースをオンラインで利用できるようにし、現場が求めるマンツーマンのリモート診断サービスを有料で提供する。
また、作業プロセス全体の標準化を進めるためにスマート点検修理デバイスも開発した。車載用とメンテナンス工場用の2種類があり、工場用デバイスではワンクリックで車両の故障箇所を確認でき、車載用デバイスでは走行中のリアルタイムデータも取得できる。クラウド上のデータベースにアクセスし、リアルタイムで技術アドバイスを受けることができる。
このスマート点検修理デバイスによって1億3600万件のメンテナンスデータと車両運行データ22億件が蓄積されている。この膨大なデータをもとに、同社が構築したクラウドスマート診断システムは主に次の3つのシーンで利用されている。
1.修理メンテナンス。スマート診断システムが人間に代わって故障パターンから修理メンテナンス方法を判断。従来72分間かかっていたところ、わずか1秒で判断が可能になった。現在100パターンの修理方法に対応。
2.コネクテッドカーシステム。自動車メーカー向けにデータ解析に基づいたコンサルティングサービスを提供。
3.物流企業の車両管理。車両の使用状況などをモニタリングしメンテナンス時期を予測、ソフトとハードの両面から故障を予防する。
同社の収益を支えるのはリモート診断サービス、デバイス販売、クラウド診断サービスである。価格帯についてはリモート診断サービスが年間300元(約4500円)、デバイスは平均1万5000元(約23万円)。ベテラン技術者の月給は平均1万5000元(約23万円)とされるが、クラウド診断サービスの料金はそれよりもはるかに安い。
同社2018年の売上高1億元(約15億円)のうちデバイスの販売が80%を占める。今後はデータサービスを強化し、2020年にデータサービスの売上高比率は40%にまで拡大される見通し。
共軌之家はメンテナンスのビッグデータで貨物自動車アフターサポート市場の構造改革を推進する。今後、修理メンテナンス工場のデジタル化が進むとみられ、同社は大手自動車部品メーカーとメンテナンス工場のフランチャイズ展開について提携合意したという。
創業者の蔡継業氏は独ボッシュの中国R&Dセンターに11年在籍したコモンレールシステムの技術者及び品質管理の専門家。COOの蔡旭氏は農業用品のB2Bプラットフォーム「豊收侠」と配車アプリ「大黄蜂打車」の創業メンバー。同社は貨物自動車とICTの技術が融合してできた企業である。
2018年に「碧鴻資本(Hone Capital)」、「磐霖資本(Panlin Capital)」、「賽伯楽投資(Cybernaut Venture Capital)」から三度にわたって資金を調達、現在はシリーズBで資金を調達中だ。
(翻訳:貴美華)
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