中国、外観検査装置にAIoT活用。目視より数十倍の効率向上、半導体などハイエンド製造を後押し

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人工知能(AI)を搭載した外観検査装置を手がける中国スタートアップ企業「感図科技(Gantu Technology)」がこのほど、シリーズC2で地方政府の産業基金から数億元(数十億~百数十億円)を調達した。資金は、技術の改良と製品のアップグレードに充てられる。同社は今後、半導体や新エネルギーなどの分野で市場開拓を進め、新しい研究開発センターと生産・組み立て拠点も近く稼動させる予定だ。

2018年4月に設立された同社は、中国の「国家ハイテク企業」や上海市の「専精特新(専門化、精密化、特色化、斬新化)」企業、「科技小巨人」育成企業に選ばれている。ハイエンド製造業の品質と良品率のスマート管理に焦点を当て、独自開発したAIの基盤モデルとコア技術でワンストップ式のスマート化ソリューションを提供している。

半導体および新エネルギー分野ではこれまで、製品の欠陥検査を従来型の外観検査装置や多くの人手を要する目視検査に頼ってきた。検査業務にかかる費用は生産ライン1本にかかるコストの3分の1近くを占めるほどだった。

しかし、人間による目視検査は効率が低く、欠陥を見逃すリスクも大きい。低賃金で作業が単調な検査業務に従事しようとする労働者がますます少なくなる中、人に代わってAIや装置を導入する需要が急速に高まり、ハイエンド製造業の品質検査には革命的なチャンスが訪れた。

同社は光学・機械工学・電子工学を一体化した「オプトメカトロニクス」にAIを取り入れて、スマート外観検査装置の「明鑑者(GTI)」、AIoTを使ったスマート監視システムの「明覧者(GTO)」、スマート意思決定サポートシステムの「明策者(GTD)」という製品シリーズを展開している。人間、機械、材料、手段、環境を含む検査業務の全プロセスをカバーするシステムを構築し、検査の効率化と品質の向上、欠陥見逃しの低減、コンプライアンスと安全性の確保につなげている。

スマート外観検査装置「明鑑者」シリーズ

検査効率の点で、顕微鏡などのツールを使って作業員が製品を1つ1つ検査する目視検査は効率が低い上、人の目では小さな欠陥の発見が難しいことから品質に潜在的なリスクが生じ、長時間の作業が視力にも悪影響を及ぼす。一方、同社の外観検査システムは、パターンマッチングとAIの畳み込みニューラルネットワーク技術によって、データのスクリーニング、アノテーション(タグ付け)、機械学習、推論、識別など複数のタスクをこなし、従来の外観検査装置や目視検査に代わって検査業務の90%以上を担える。

創業者の朱磊CEOによると、半導体および新エネルギー分野の品質検査で、「明鑑者」は検査精度が99.99%以上、作業員による目視検査の数十倍の効率を誇り、生産性と品質が大幅に向上するという。

実際の製造現場では、「明鑑者」が高い検出率で誤判定も少ないAI外観検査を進める中、「明覧者」が製造設備と作業員の動きを監視し、それを「明策者」が推論・意思決定でサポートする。その結果、生産ラインから生まれる廃棄品の数を効果的に減らし、良品率が1%以上向上したという。

同社は、プリント基板を中心にウェハー、パッケージ、モジュールなど電子回路産業チェーンで事業を広げている。半導体と新エネルギーの分野で急速に顧客を増やしており、アップル製品の中核部品サプライヤーや新エネルギー電池部品メーカーなど多くの顧客から受注を獲得した。

電子回路産業チェーンで事業を拡大

朱CEOは「当社は常に組織構造を改善しながら製品の標準化と業務のフロー化を進め、市場の変化に迅速に対応すると共に、よりスマート化の進んだソリューションを顧客に提供してきたため、この6年間で急成長できた」としている。

今後も研究開発投資を増やして製造業でAI技術の活用を広げ、ソリューションのスマート化・自動化を向上させていく方針だ。また、新たな事業分野の開拓も積極的に進め、さらなる成長を目指す。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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