赤字にあえぐ中国自動運転業界、巨額の開発費が重荷に 上場企業も収支マイナス

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自動運転向けAIチップを開発する中国「地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)」が2024年10月、ついに香港取引所に上場を果たした。高度自動運転分野をリードする企業の上場とあって、このニュースは広く注目を集めた。調査機関・高工智能汽車研究院のデータによると、2024年上半期に中国ブランドの乗用車に搭載された自動運転ソリューションのうち、ホライズンが市場シェア28.65%で首位に立った。また、自動運転レベル2(L2)に位置づけられる先進運転支援システム(ADAS)のシステムソリューションでもトップシェアだった。

自動運転向けAIチップの中国・地平線機器人が香港上場 時価総額1兆円へ

市場でトップの地位を揺るがぬものにしたとはいえ、ホライズンの損失額は高止まりしている。2021年から23年にかけて売上高は4億6700万元(約100億円)、9億600万元(約190億円)、15億5200万元(約330億円)と推移し、24年上半期は前年同期比152%増の9億3500万元(約200億円)に達した。一方で、21年から23年の調整後純損失はそれぞれ11億300万元(230億円)、18億9100万元(約400億円)、16億3500万元(約350億円)と、3年間で総額46億2900万元(約970億円)に膨らんでいる。

中国の主な自動運転関連企業のIPO状況

業界トップの企業がこの状況なら、ほかの自動運転関連企業が黒字化を果たすのは困難を極めるだろう。

トヨタを株主に持つ自動運転のユニコーン企業「小馬智行(Pony.ai)」は、10月17日に米ナスダック市場に上場申請した。同社は広州市、北京市、上海市、深圳市の4都市でロボタクシー事業を展開しているが、いまだ黒字転換できていない。目論見書によると、2016年の設立から新規株式公開(IPO)申請までに7回の資金調達を実施し、総額13億ドル(2000億円)以上を調達してきた。22年から24年上半期までの売上高は累計1億6500万ドル(約250億円)を突破したが、同時期の損失額は売上高のほぼ倍となる3億2500万ドル(約500億円)に達した。

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すでにIPOを実現した自動運転関連企業「黒芝麻智能(Black Sesame)」「禾賽科技(Hesai Technology)」「速騰聚創(ロボセンス)」などは、上場してから株価の低迷が続いている。黒芝麻智能は過去3年間の売上高5億3800万元(約110億円)に対し、損失額が25億6800万元(540億円)に達した。香港取引所での時価総額は、2024年11月25日正午時点で140億香港ドル(約2800億円)にまで減少している。

禾賽科技は、過去3年間の売上高38億100万元(約800億円)に対し、損失額10億2200万元(約220億円)。同期間中のロボセンスの売上高は19億8100万元(約420億円)、損失額は41億7400万元(約890億円)だった。11月25日時点で、禾賽科技の株価は4.74ドル(約730円)と、公開価格の19ドル(約2900円)から75%も下げている。ロボセンスの株価も今年に入ってから6割近くの下落となった。

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赤字体質を脱却するには?

自動運転分野では研究開発に多額の投資が必要で、技術的な難易度も高い。ホライズンが過去3年間に投じた研究開発費は総額53億9000万元(約1100億円)に上り、売上高の倍近い数字になっている。Pony.aiも売上高の2倍以上を開発につぎ込んでいる。黒芝麻智能に至っては、3年間に費やした研究開発費が売上高の5倍を超えていた。

際限なく増え続ける研究開発費に対し、売上高には限界がある。これが自動運転開発企業の黒字化を阻む主な要因かもしれない。

業界関係者は、資金投入と収益が釣り合っていないことが最大の問題だと指摘し、「自動運転開発企業の収益は、システムを搭載した車両の売れ行きにかかっている。システム搭載車の売れ行きが悪ければ、自動運転開発企業の収益も伸び悩む。消費者の節約志向で自動運転システム搭載車が選ばれないこともある。サプライヤーへの支払期限など複数の要素が重なると、経営はいっそう苦しくなる」と語る。

中国乗用車協会(CPCA)が発表したリポートによると、2024年上半期の新エネルギー乗用車市場では、L2以上の運転支援機能を搭載した車両が66.4%に達した。搭載車の多くは高価格帯のモデルだという。

画像:CPCA

では、自動運転開発企業はどうすれば確実に利益を上げられるのだろうか。

専門家は、技術の進歩や普及率の高まりに伴い、2~3年以内に黒字化する企業が現れると予測する。自動運転開発企業が黒字化を達成するには、目の前に現れる問題を解決して競争を生き抜く力をつけなければならない。まずは、運転支援システムの量産を実現して、特定エリア内で自動運転技術を実用化すると同時に、資金調達を進めて企業としての健全な運営を確立する。次に、自動運転システムのコストや安全性、信頼性などを確立し、市場で戦っていけるだけの競争力を持ち合わせているかを検討することが必要になる。

2025年は自動運転開発企業が赤字から黒字に向かう分岐点になるとみられている。Pony.aiは、25年には売上総利益がプラスになり、ロボタクシーの大規模商用化をスタートできる見通しだとしている。業界全体でも、26年頃にはロボタクシーサービスの商用化が実現すると見込まれている。調査会社フロスト&サリバンは、中国が世界最大のロボタクシーサービス市場に成長し、30年には世界のシェアの半分以上を占めるようになると予測する。

ただ、市街地向けの運転支援機能NOA(Navigation on Autopilot)はユーザー目線でまだ実用レベルに達しておらず、進んで利用したいとは思えない。ホライズンの創業者・余凱氏は「市街地向けNOAの市場競争は始まったばかりだ。競争が本格化するのは2025年に入ってからだろう」と語った。

*1ドル=約154円、1元=約21円、1香港ドル=約20円で計算しています。

原文:時代財経APP(WeChat公式ID:tf-app)

(翻訳・畠中裕子)

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