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アリババグループ傘下の「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」が、ID認証管理プラットフォーム「北京九州雲騰科技(IDsManager)」の買収を計画し、すでに契約が締結したという。タブロイド紙・新京報が関係筋の話として報じた。36Krからの取材に対し、同社は公式な回答を控えた。
九州雲騰は2014年に設立され、統一認証システム、IDaaS(クラウド経由のID認証)、クラウドアプリなどのサービスを提供する。創業者の尚紅林CEOはシリアルアントレプレナーで、ヒューレット・パッカード在職時はソフトウェア技術担当マネジャー、IAMアーキテクトとして従事し、クラウド/モバイル・セキュリティ認証分野に注力してカナダでコンサルタント会社を起こした経歴もある。また、陳文鋒董事も情報セキュリティの上場企業「緑盟信息安全科技(NSFOCUS Information Technology)」の上級副社長(シニア・バイスプレジデント)、清華大学系の半導体企業「清華紫光集団(Tsinghua Unigroup)」傘下の「北京清華紫光順風信息安全」の総経理を歴任してきた。
IT企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める過程で、クラウド導入は当然の成り行きだ。中研普華産業研究院が中国のデータセキュリティ産業についてまとめた調査報告書によると、中国の情報セキュリティ産業におけるハードウェアの市場規模は2015年時点では約205億9200万元(約3200億円)であったが、2018年には368億5100万元(約5700億円)に達した。ID認証分野では、米国の「Okta」、「Ping Identity」、「OneLogin」が世界トップ企業で、中でも2017年に上場したOktaの時価総額は、現時点で131億1200万ドル(約1兆4000億円)に達している。
企業がクラウドを導入すると、いくつもある内部システムでID認証やその管理などが課題となってくる。システムごとに管理するだけでなく、アカウントや権限付与を統一管理するメカニズムも必要だ。九州雲騰のIDaaSは同社が知的財産権を所有する技術で、従業員はポータル画面で1度ログインすれば、デジタル証明書により、認証作業を繰り返すことなく、各内部システムにアクセスできる。このプロセスで、九州雲騰は各ユーザーに一対の公開鍵(パブリックキー)と秘密鍵(プライベートキー)、IPや環境などの動的因子を作成する。「秘密鍵+動的因子」の組み合わせが即ちID文字列、ワンタイムパスワード(OTP)となり、指紋認証でクラウドに照合できる。
九州雲騰は、2017年にプレシリーズAで緑盟科技から1000万元(約1億5000万円)を、2018年6月にはシリーズAで「啓明創投(Qiming Venture Partners)」と「達晨創投(Fortune Capital)」から6000万元(約9億円)を調達している。
大企業からビジネスの布陣を見ると、今年は取引の活発な年になり、クラウドネイティブ市場は「兵家必争の地」となるだろう。大手企業は買収その他の手段により、自らの能力を補完していく。アリババは今年10月、ネットセキュリティのスタートアップ企業「長亭科技(Chaitin Tech)」と企業向けコラボレーション・ソフトウェアの「Teambition」を買収した。今年成長著しい「Tencent Cloud(騰訊雲)」も、ワンストップのクラウド型ソフトウェアサービス「CODING(扣釘科技)」を買収したばかりだ。
(翻訳・永野倫子)
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