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競争が激しい中国のファッション業界で、「95後(1995年以降生まれ)」の若者向けカジュアルファッションという「未開拓の市場」に新たなブランドが素早く切り込んだ。2018年初めに設立された中国の「bosie」はユニセックスファッションブランドとして、鮮やかで独特なスタイルや男女共通のサイズとデザインが若者の人気を博している。
bosieは性別や年齢を区別せずデザインを男女共通とする「NO GENDER.NO BORDER.」をコンセプトに掲げ、若年消費者にとって手頃な価格で商品を提供し、デザイナーズブランドと大衆ブランドの境界を打ち破った。
設立から2年足らずで、マイナーなデザイナーズブランドから「95後」と「00後(2000年以降生まれ)」の若者向けのメジャーなカジュアルファッションブランドに成長。販売開始月の昨年6月に100万元(約1500万円)だった売上高は、今年すでに8000万元(約12億円)に上っており、2019年通年では1億2000万元(約18億円)を超える見込み。販売チャネルは電子商取引(EC)に加え、年内には実店舗を全国で12店舗展開する予定。今年4月には第1号店として杭州嘉里中心店をオープンした。
急成長の要因は、在庫管理の標準化、フレキシブルなサプライチェーンの構築、若年消費者のニーズ把握、店舗の効率的な運営だ。
昨年10月、bosieは設立から1年も経たない段階で実店舗の出店計画に着手した。同社のデータをみると、その試みは順調に進んでいるようだ。
第1号店の杭州嘉里中心店は面積が200平方メートル前後、売上高は月間50~60万元(約750~900万円)で推移。1店舗当たりの純利益率は25%の高水準に達し、資金回収サイクルは4~5カ月となっている。深圳、武漢、鄭州、西安、南昌などにオープンした店舗でも同じような収益構造を構築した。
店舗は「ユニセックスファッション・ラボ」として宇宙船、二次元クローゼット、テーマ型試着室、靴下のクレーンゲーム機などによる独創的な空間で、若者がSNSに画像をアップするために訪れる人気店となっている。衣類の購入と自撮りがセットとなり、ソーシャルECの「小红書(RED)」、ショート動画共有の「抖音(Douyin)」、動画共有の「ビリビリ動画(bilibili)」、ミニブログの「微博(Weibo)」といったSNS上での拡散につながっている。
現状から試算すると、bosieが60都市に進出して300~500店を開設すれば、売上高は15~25億元(約230~375億円)前後に上る見込み。だが同社創業者の劉光耀氏は、1店舗当たりの月間売上高を最高100万元(約1500万円)にまで引き上げられる可能性があると考えている。売上高を増やすには、消費者層を拡大して成約率を上げるとともに、好立地かつ大面積の店舗をオープンし、来店者数を増やすことが必要だ。
bosieは消費者層を拡大するため、子供向けブランド「bosie Kids」の展開を目指している。「85後(1985年以降生まれ)」や「90後(1990年以降生まれ)」の若くて美意識が高い親も消費者として取り込み、若者と若い親が子供服に求める「見た目が良く、価格が手頃で、ニュアンスがある」というニーズに応えるデザインを行う。
また店舗面積の拡大は、ファストファッションとデザイナーズブランドの特長を合わせ持つbosieのビジネスモデルと相関性があり、選りすぐりの若者向けファストファッションとして、デザイン性の高いアイテムを迅速に展開するだけでなく、サプライチェーンの効率を高めることも可能にする。面積400~600平方メートルの大型店(通常はショッピングモールでも集客力の高い区画となる)をオープンすれば来店者数が増え、賃料のコストパフォーマンスも上がり、店舗の効率と売り上げが大きく向上するだろう。
タイミングも大切だ。良好な出店地は希少な資源だが、中国では長期にわたりグローバルファッションブランドが陣取ってきた。最近はグローバルブランドの撤退が相次ぎ、消費者や新規に開業する商業施設の国内新興ブランドに対する認知度と許容度も高まっているため、bosieがより良好で面積の大きな立地を確保するチャンスを迎えていることは間違いない。
bosieの強みは、店舗とECで全く同じ商品ラインナップを提供し、本部がすべての商品を管理している点だ。「同一商品、同一価格、同一割引」を実現することで、商品回転率も高まり、在庫回転日数を1カ月前後に抑えられている。
同社は9人のデザイナーを抱えている。デザイナーは英ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション、英セントラル・セント・マーチンズ、仏エスモード、中国の北京服装学院、浙江理工大学などを卒業、平均年齢は25歳で若者のファッションセンスを理解する。「社内競争システム」のもと、各デザイナーはそれぞれがチームを組み、自身の業績と財務パフォーマンスに責任を負う一方、会社側も相応のボーナスとインセンティブを用意している。なお、創業者の劉光耀氏は北京大学光華管理学院を卒業している。
(翻訳・神戸三四郎)
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