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高級アパートメントホテルの開発・運営を手掛ける米「Domio」が昨年12月、シリーズBとデットファイナンスでそれぞれ5000万ドル(約55億万円)、計1億ドル(約110億円)を調達した。シリーズBでのリード・インベスターは「GGV Capital」、コ・インベスターは投資会社の「Eldridge Industries」「3L Capital」「Tribeca Venture Partners」「ソフトバンクキャピタル」「Tenaya Capital」および「Upper90」。デットファイナンスでのリード・インベスターは「Upper90」だった。
本部をニューヨークに置くDomioは、2016年にAdrian Lam氏とJay Roberts氏によって設立された。グループ客をターゲットとするアパートメントホテルの賃貸・管理を手掛け、ナッシュビルやニューオーリンズ、サンディエゴ、オースティン、シャーロットなど12都市で事業を展開しており、今年中に25都市に事業を拡大する計画だ。
テクノロジー活用型アパートメントホテル
Domioは単なる不動産会社でも、単にホテル経営を手掛ける企業でもない。アパートメントホテルの運営にテクノロジーを駆使する企業と定義する方がふさわしい。
Domioの理念はテクノロジーを原動力とすることだ。データ分析と機械学習を通じて物件ごとの特徴を判定。立地や規模、地理的分布、気候、経済指標などに基づいて物件を類型化し、それぞれ異なるサービスシステムを導入する。
Domioはコストパフォーマンスも高い。ターゲットとしているのは、家族旅行にふさわしいホテル探しに困っているミレニアル世代(1982〜2000年生まれ)だ。Domioの客室の広さは一般的なホテルの5倍。一方、宿泊料金は25%安い。
Domioは専用アプリの開発も進めている。アプリを通じて客室予約やUberでの配車予約ができる他、宿泊客の持つ音楽配信アプリ「Spotify」のアカウントを同期して客室内に音楽を流すことも可能。さらに興味深いのは、体験型小売事業の開拓も計画していることだ。宿泊客は客室のソファーや美術品、壁紙などの備品に気に入ったものがあれば、アプリを通じて購入することができるという。
Roberts氏によると、全世界のホテルの平均客室稼働率が約60%なのに対して、Domioの客室稼働率は75〜78%に上るという。
Domioは具体的な数字を明らかにしていないものの、Roberts氏は現在のDomioの評価額はシード期の50倍となっており、昨年の売上高は一昨年の3倍に達したと述べている。調査会社の米「PitchBook」によると、Domioがこれまでに調達した資金は、わずか約1700万ドル(約18億6000万円)だという。
アパートメントホテルを運営する世界各地の企業3社と比較すればDomioの現状を把握しやすいだろう。昨年、2億2500万ドル(約247億円)を調達したカナダ「Sonder」の評価額は10億ドル(約1100億円)以上、3500万ドル(約38億5000万円)を調達したイスラエル「Guesty」の評価額は1億8000万〜2億ドル(約200〜220億円)の間、米エアビーアンドビーの評価額は約310億ドル(約3兆4000億円)に上るとみられる。
GGV Capitalのマネージング・パートナーHans Tung氏は、Domioに出資した主な理由の一つとして資金効率が非常に高いことを挙げるとともに、Domioには3年間で12都市に事業展開した市場開拓能力の高さと、アパートメントとホテルの性質を兼ね備えたサービスモデルという際立った特徴があると指摘している。
(翻訳・田村広子)
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