トークン需要が2年で1000倍に——中国AIクラウド市場、「激安競争」から「一斉値上げ」へ

この1年足らずで、中国のAIクラウド市場は価格競争から一斉値上げへと劇的な転換を遂げた。AIモデルの急普及によるトークン需要の爆発的な増加だ。利用量が単価下落のスピードを大幅に上回り、各社の赤字拡大が限界に達したことが、この転換を引き起こした。

2025年4月、阿里雲(アリババクラウド)が先陣を切って価格競争に火をつけると、京東雲(JDクラウド)、騰訊雲(テンセントクラウド)、華為雲(ファーウェイクラウド)が相次いで追随し、「最大60%オフ」という売り文句が市場に飛び交った。

当時の競争の焦点は市場シェアの奪取にあり、各社は極限まで価格を下げることで企業顧客の囲い込みを図った。その結果、トークン単価は暴落し、中国市場では100万トークンあたり50~100元(約1200円~2300円)から数角(数円~十数円)にまで暴落した。しかし、どれほど単価を引き下げて普及を促そうとも、爆発的に膨れ上がる利用ボリュームの勢いを上回ることはできなかった。

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「不意打ち」の一斉値上げ

こうした安売り路線の終焉は、突然訪れた。。2026年3月に入ると、わずか10日間のうちにグーグルクラウド、アマゾンウェブサービス(AWS)、テンセントクラウド、アリババクラウド、百度智能雲(バイドゥAIクラウド)など中国内外の主要ベンダーが揃って価格改定を発表した。中核となるAI(人工知能)計算能力およびストレージサービスの価格が概ね3~5割引き上げられた。中でも、テンセントクラウドの「Tencent HY2.0 Instruct」の入力価格は1000トークンあたり0.0008元(約0.02円)から0.004505元(約0.1円)へと引き上げられ、上昇率は463%に達した。OpenAIもGPT-5.4の入力価格を100万トークンあたり2.5ドル(約400円)、出力価格を15ドル(約2400円)に引き上げた。

今回の値上げは、業界で長年続いてきた「継続的な値下げ」という慣例を破るこの動きは、多くの市場関係者にとって不意打ちとなったという。

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価格上昇の背景には、大規模モデル時代の計算リソースの需給に潜む深刻な不均衡がある。中国国家統計局のデータによると、中国の1日当たりのトークン呼び出し量は2026年3月に140兆を突破したが、2024年初めはわずか1000億で、2年間で1000倍以上増加したことになる。

兆単位の呼び出し量はデータセンターに莫大なエネルギー消費をもたらし、電力コストは上昇の一途をたどっている。クラウドベンダー各社は1年にわたる価格競争を経て、赤字での拡大はもはや持続不可能であり、計算能力の価格設定はコストをカバーするビジネスロジックに回帰しようとしている。

*1元=約23円、1ドル=約159円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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