差はわずか「2.7%」、AI性能で米中ほぼ互角ーースタンフォード大報告書

米スタンフォード大学の「人間中心の人工知能研究所(HAI)」がこのほど、AIに関する年次報告書「2026 AI Index Report」をまとめた。世界のAI発展の状況を、技術力や産業競争力、経済的影響、普及状況などさまざまな角度から体系的に評価したもので、情報密度の高いレポートに仕上がっている。

米中の性能差は「2.7%に」縮小

この報告書で最も注目された点のひとつは、米中間でAIモデルの性能の差がほぼ解消されたという結論だ。2025年2月に中国のスタートアップDeepSeekから「DeepSeek-R1」がリリースされると、中国のAIモデルが一時的に米国にほぼ追いついた状態となった。26年3月時点では、米アンソロピック(Anthropic)のモデルがリードを保っているが、その差は縮まりつつある。世界のAIモデルの比較・ランキングサイト「LM Arena」でも、アンソロピックの「Claude Opus 4.6」が1503ポイント、中国・バイトダンス(字節跳動)の「Dola-seed-2.0-preview」が1464ポイントで、差はわずか39ポイント、約2.7%にまで縮小した。さらに、「Seed-2.0-Pro」 の出力価格はClaude Opus 4.6に比べはるかに安い。

AIモデルの開発件数も差がなくなりつつある。2025年に米国で開発された有力モデルは50件で、中国はそれに次ぐ30件だった。開発件数では、アリババグループ、DeepSeek、清華大学、バイトダンスなどが上位10位以内にランクインした。

報告書はまた、中国の大きな追い上げにおいて、オープンソースモデルが重要な役割を果たしていると指摘する。中国の開発チームは、DeepSeekシリーズなどオープンソースモデルによって、クローズドモデルとの差を急速に縮めている。

成果の面では、米国が依然としてトップレベルのAIモデル数や影響力の高い特許でリードしている状況に変わりはない。一方で中国は、論文の発表数や引用数、特許件数、そして産業用ロボットへの搭載量で存在感を放っている。

計算能力とハードウェアも米国の強みだ。米国には現在、5427カ所のデータセンターがあり、規模の面で圧倒的優位にある。世界のAI計算能力は6割以上を米NVIDIAに依存しており、先端チップの製造は半導体受託生産大手・台湾積体電路製造(TSMC)に集中している。

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AI人材の米国離れが深刻化

米国と中国では投資額に大きな差がある。米国では2025年にAI分野への民間投資額が2859億ドル(約46兆円)に達し、中国の124億ドル(約2兆円)の約23倍だった。しかし報告書では、中国では政府系基金からの支援があるため、民間投資額だけを見ていると実態を見誤ると指摘している。

米国は起業の活発さでも群を抜いている。この1年間で新たに資金調達したAI企業は1953社にのぼり、2番目に多い英国の10倍以上だった。

だが米国では注意すべき兆候が現れ始めている。AI研究や開発のために米国に渡る人が減少し続けており、2017年からすでに89%減少、そのうちの約80%が直近1年に集中している。近く、世界のAI人材マップが大きく書き換えられるかもしれない。

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*1ドル=約159円で計算しています。

作者:量子位(QbitAI)、編集・翻訳:36Kr Japan編集部

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