アリババ、即時小売・AIインフラが利益を圧迫 クラウド事業が全収益の3割を占める:1~3月
中国電子商取引(EC)大手のアリババグループは5月13日、2026年1~3月期と26年3月期通期決算を発表した。1~3月期の売上高は前年同期比3%増の2433億8000万元(約6兆5000億円)、当期の純利益は106%増の254億7600万元(約5900億円)となった。しかし、調整後純利益はわずか8600万元(約20億円)にとどまり、前年同期の298億4700万元(約6900億円)を大幅に下回った。これは主に、即時小売事業の販促費、AI(人工知能)アシスタントアプリ「千問(Qianwen)」の顧客獲得費用、およびAIインフラへの支出が大幅に増加した影響によるものだ。
通期の売上高は前年比3%増の1兆236億7000万元(約23兆円)、純利益は18%減の1059億400万元(約2兆4000億円)となった。
事業部門別の1~3月期の売上高は、中国国内のEC事業を担う「阿里巴巴中国電商集団(Alibaba China E-commerce Group)」が前年同期比6%増の1222億2000万元(約2兆8000億円)、海外EC事業の「阿里国際数字商業集団(Alibaba International Digital Commerce Group)」が同6%増の354億2900万元(約8100億円)、 クラウドサービスの「アリババクラウド」やAIを手がける「雲智能集団(Cloud Intelligence Group)」が同38%増の416億2600万元(約9600億円)となった。
1~3月期の最大の注目点はクラウド事業の高い成長率で、中でもAI関連プロダクトの売上高は89億7100万元(約2000億円)に達し、年換算売上高は358億元(約8200億円)を突破した。これにより、アリババクラウドの売上高全体に占めるAI関連の割合が初めて30%を超えた。
中国のインターネット(IT)大手各社は、「シェア拡大とインフラ構築」を最優先するフェーズに入っており、アリババを含め、テンセント(騰訊控股)、バイトダンス(字節跳動)はいずれも大規模なAI投資計画を発表した。アリババの呉泳銘(エディ・ウー)最高経営責任者(CEO)は、アリババは1~3月期に3つの領域で進展を遂げたとしている。まず、モデル領域では大規模モデル「通義千問(Qwen)」が推論・プログラミング能力で中国トップを維持した。次に、クラウドインフラ領域では、拡大するAI需要がクラウド事業の外部売上高の成長を加速させた。そしてアプリケーション領域では、QianwenをECプラットフォームの淘宝(taobao)や天猫(Tmall)のECエコシステムと全面的に連携させたほか、法人向けにはオフィスやプログラミングなどのシーンをカバーする複数の企業向けAIエージェントを発表した。
さらに、自律型AIエージェントの応用時代が到来するなか、アリババは今年3月に「Alibaba Token Hub(ATH)」ビジネスグループを設立し、モデル、MaaS(サービスとしてのモデル)、AIアプリケーション事業を統合した。また、企業向けコミュニケーションツール「Ding Talk(釘釘)」のチームが開発した企業向けAIネイティブ・エージェント型プラットフォーム「悟空(Wukong)」も、同じ戦略枠組みのもとで発表された。
注目すべきは即時小売事業だ。即時小売サービス「淘宝閃購(Taobao Instant Commerce)」のローンチ後、同事業の1~3月期の売上高はに前年同期比57%増の199億8800万元(約4600億円)に達し、通期では同47%増の785億2000万元(約1兆8000億円)となった。これはアリババが「美団(Meituan)」や京東集団(JDドットコム)に対抗するための重要な局面であると同時に、利益を圧迫する主な要因の一つにもなっている。
*1元=約23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)