人型ロボットに「汗腺」を持たせたーー中国・シャオミ「CyberOne V2」の正体
中国スマートフォン・IoT家電大手のシャオミ(小米集団)の投資家向けイベント「Investor Day」に、未発表の人型ロボット(ヒューマノイド)「CyberOne V2」が登場した。会場で来場者に記念品を渡し、握手したりハイタッチを交わしたりして、大きな注目を集めた。
ネット上の情報によると、CyberOne V2は身長178センチ、体重約52キロで、歩行速度は秒速0.98メートル、片手の耐荷重は3キロ。宇樹科技(Unitree Robotics)の「H2」などが動きの速さや耐荷重を重視したのに対し、シャオミは「手」に重点を置いた。
CyberOne V2のロボットハンドは成人男性の手を実物大で再現し、自由度は22以上(最大27)。ネジ締めやボルトを指先で回す力強さを持ちながら、羽毛をつまんだり風船に軽く触れたりする繊細な動作も可能で、幅広い把持能力を備える。さらに、搭載された感情AIモデルが表情や声を認識し、それに応じたフィードバックを返すことができるともされている。
ロボットで最も難しいのはロボットハンド

高速でネジを締めたり、風船に触れたり、ボルトを回転させたり、羽毛をつまんだりする
本のページをめくる、靴紐を結ぶなど人にとってごく日常的な動作も、ロボットにとってはまだ夢物語だ。シャオミはCyberOne V2でロボットハンドを大幅に見直した。
まず、人間の手を可能な限り模倣し、成人男性の手とまったく同じサイズにまで圧縮した。
次に、手のひら全体に触覚を持たせた。ロボットは視界が遮られると正常に動作できなくなるため、シャオミは触覚手袋という技術を採用し、手のひら側で触覚センサーがカバーする面積は8200平方ミリメートルまで拡大した。人が手袋を装着して操作すると、その「手の感覚」がそのままロボットに伝達される。
そして特筆すべき点が、人間の汗腺にヒントを得た冷却システムだ。シャオミはこれを「汗腺」と呼ぶ。
CyberOne V2の片手のモーター出力は100ワットを超えるが、そのうち30ワットが廃熱となって回路を損傷するリスクがある。シャオミは人間の発汗による気化熱放出に着想を得て、前腕内部に金属3Dプリントで作った超小型の液冷循環システムを構築した。実測では、この汗腺システムで毎分0.5ミリリットルの水分を気化させることで、約10ワットの放熱能力が得られた。このほか、実際の把持試験では15万回以上の使用に耐え、一般的なデモレベルを大幅に上回った。
すでに工場で実運用、今後は量産体制の構築へ
ハードウェアだけでなく、AIの改良も進んでいる。シャオミは2カ月前にエンボディドAI向けのVLA(Vision-Language-Action)モデル「Xiaomi-Robotics-0」をオープンソース化し、実機による訓練プロセスもすべて公開した。このモデルを使えば、わずか20時間分のタスクデータで訓練するだけで、「イヤホンをケースにしまう」といった高度なタスクを習得させることができる。

「イヤホンをケースにしまう」といった高度なタスクにも対応
シャオミの人型ロボットは、すでに自動車工場で実運用の段階に入っている。ナットの取りつけ工程では、人の介入なしに3時間作業を続け、装着成功率は90.2%に達した。
人型ロボットの産業化競争は、見せる技術から実際の生産能力を競うフェーズへと移りつつある。
(翻訳・36Kr Japan編集部)