ヒューマノイド、買えないなら借りるーー中国発「ロボットレンタル」企業へ投資殺到
人型ロボット(ヒューマノイド)のレンタルプラットフォームを運営する中国企業「擎天租(BOTSHARE)」はこのほど、プレシリーズAで数億元(数十億円)規模の資金を調達したと発表した。出資者には、タイの大手財閥・正大集団(CPグループ)傘下のロボット事業会社「正大機器人(CP Robotics)」、中国ディスプレイ部品大手の長信科技(Changxin Technology)、IoTモジュールメーカーの美格智能(Meig Smart)、精密ガラス加工大手の藍思科技(Lens Technology)などの産業資本および上場企業が名を連ねた。

設立から4カ月足らずで、擎天租はすでに4ラウンドの資金調達を完了している。同社の李一言CEOは、年末までに評価額100億元(約2300億円)の達成を目標とすると述べる。
「買う」から「借りる」へ
擎天租は2025年末に中国の人型ロボット大手・智元機器人(AgiBot)を中心に設立され、プラットフォームは RaaS(Robot as a Service、ロボット・アズ・ア・サービス) モデルを採用する。ロボット本体を自社保有せず、メーカーとB2B・B2Cユーザーをつなぐ仲介役を担う事業モデルで、配車サービス大手にちなみ「ロボット業界のUber」を自任している。
プラットフォームは人型ロボットのレンタルを中核に据える。人型ロボットは「技術のショーケース」の役割から通常のビジネスや産業シーンへと進出しつつあるものの、1台あたり数十万元(数百万円)に達する購入コストが、中小企業にとっては大きな参入障壁となってきた。擎天租はレンタル方式によってこのハードルを引き下げることを狙う。
たとえば主力機種であるAgiBotの家庭用小型人型ロボット「霊犀X2」シリーズは、1日あたりのレンタル料が1499元(約3万円)から。フラッグシップモデルの遠征A2)は1日4899元(約11万円)となっている。四足歩行のロボット犬の場合、1日200元(約4600円)からと、価格に敏感な個人ユーザーの取り込みも狙う。
すでにロボット大手の宇樹科技(Unitree Robotics)や衆擎機器人 (EngineAI)、逐際動力(LimX Dynamics)など中国の複数メーカーの製品が順次、このプラットフォームに参加している。現時点でレンタル可能なロボットは4000台超、サービス網は100都市超をカバーしている。業務の60〜70%は企業の年次イベント、展示会、文化娯楽などのビジネスシーンに集中しているという。
大規模展開、課題も残る
AgiBotの幹部・姜青松氏は、2025年のロボットレンタル市場規模はすでに10億元(約230億円)を突破し、2026年には100億元(約2300億円)へ拡大すると見込むという。この巨大市場を狙うため、擎天租はこのほど、グローバルネットワーク構想「SHAREBOT」も発表している。第1期では、ドイツ、フランス、米国、マレーシアなど13カ国への展開を計画。
ただし、ロボットレンタル業界にはなお課題も残されている。用途やシーンによって繁忙期と閑散期の差が大きいうえ、レンタル料金も継続的に下落している。2025年の需要ピーク時には1日あたり2万5000元(約58万円)に達したが、同年末には3000〜5000元(約7万〜12万円)まで低下した。
さらに、都市ごとに提携企業の運営能力にばらつきがある点も無視できない。今後、大規模展開を進めるうえでは、サービス品質や運用水準をいかに均一化できるかが、プラットフォームモデルとしての真価を左右する重要な課題となりそうだ。
*1元=約23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)