【テスラ方式採用】中国ロボットハンド新興、高性能・低コストで市場狙う

人型ロボット(ヒューマノイド)やエンボディドAI(身体性AI)の進化が加速するなか、業界で次なる重要テーマとして浮上しているのが「ロボットハンド」だ。人間の手のように複雑な動作を再現するには、高精度な制御技術と多数の自由度が必要になる一方、コストや量産性の確保が難しく、依然として大きな課題となっている。

こうした中、深圳市のロボットハンド開発企業「星際光年(Stella-Robot)」がこのほど、新たな資金調達を実施した。順創産投(Shunchuang Industrial Investment)が主導し、雲時資本(Seas Capital)なども参加。過去3カ月間で2回目となる調達で、累計調達額は約1億元(約23億円)に達した。資金は、汎用スマート操作プラットフォームの導入拡大と量産体制の強化に充てられる。

同社の特徴は、「高性能」と「低コスト」を両立する二本立ての技術戦略にある。

一つは、人間の筋肉構造に近いケーブル(ワイヤ)駆動方式を採用した高性能モデル「Pantheonシリーズ」。もう一つは、量産性とコスト競争力を重視したダイレクト駆動型の「Gaiaシリーズ」だ。

特にケーブル駆動型は、柔軟かつ繊細な動作が可能な反面、「クリープ現象」や「温度ドリフト」といった安定性の課題が指摘されてきた。これに対し、創業者の位徳浩氏は、米テスラと同様の片側ケーブル駆動方式を中国で初めて採用し、長期的に安定した張力制御を実現したと説明する。さらに、高度な運動制御アルゴリズムによって、ケーブル駆動特有の不安定さを克服したという。

中国なしではコスト6倍——テスラ人型ロボットを陰で支えるサプライヤーたちの正体

一方、量産向けの「Gaia Hand 20」シリーズでは、全モデルに20自由度を標準搭載。触覚センサーも用途に応じて柔軟に構成でき、基本的な動作検証からマルチモーダル操作研究まで幅広いニーズに対応する。加えて、価格は従来の同自由度製品の3分の1以下に抑えられている。

同社製品はすでに、中国内外の大学や研究機関で導入が進んでおり、エンボディドAI研究向けの基盤ツールとして活用されている。産業用途では、精密製造や高リスク作業など高付加価値分野を中心に、業界大手との共同開発も進行中だという。

*1元=約23円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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