月給300万円でも人材が集まらない、中国でAI人材争奪戦が激化

中国のビジネス向けSNS「脈脈(Maimai)」の人材シンクタンクがこのほど発表した「2026年春季採用洞察リポート」によると、1月から4月にかけて人工知能(AI)関連職が春季採用の最大の人材争奪分野となっており、高給職はAIのリーダー人材や基盤技術職に集中している。

中でもAIサイエンティスト/AI部門責任者は平均月給13万2796元(約300万円)で、2位以下に圧倒的な差をつけてトップに立ち、10万元(約230万円)を突破した唯一の職種となる。2位はアルゴリズム研究員で7万4441元(約171万円)が続く。

注目すべきは、AIインフラ関連職種の月給が7万3702元(約170万円)に達し、大規模モデルのアルゴリズム関連職種の7万1534元(約165万円)を上回った点だ。これは、コンピューティングリソースのスケジューリングやモデルの学習効率を担う人材の不足を反映している。

さらに、高性能コンピューティング(HPC)エンジニア、集積回路(IC)設計、デジタルフロントエンドエンジニアなどの職種もランキング入りしており、AIのコンピューティング能力の需要と中国産チップの拡大が、基盤エンジニアリング人材の価値を押し上げていることが示されている。

ヒューマノイドロボットと生成AIがけん引

人型ロボット/ヒューマノイド(エンボディドAI)や生成AIなどの分野が、採用拡大の最も顕著な方向となっている。新規求人数の増加率トップ20社では、ヒューマノイド開発企業「X Square(自変量機器人)」が831.88%で首位となった。また、「階躍星辰(StepFun)」「面壁智能(ModelBest)」「稀宇科技(MiniMax)」などの大規模AIモデル企業も高い成長を維持している。

全体としては、バイトダンス(字節跳動)が依然として採用数が最も多い企業であり、ドローン最大手のDJI(大疆)が初めてSNSアプリの小紅書(RED)を抜いて2位に躍進した。テンセント(騰訊)、生活関連サービスの美団(Meituan)、金融会社のアント・グループなどの大手企業も同様に上位にランクインしている。

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深刻な「ハイエンド人材」不足

これに伴い、ハイエンドなAI人材の不足感が一段と顕著になっている。リポートによると、ククラウドコンピューティング分野の需給比率(求職者数÷求人数)はわずか0.38で、求人約3件に対し求職者が1人しかいない深刻な人手不足となっている。AIサイエンティスト/AI部門責任者は0.66、ディープラーニングは0.70となっている。自動運転分野でも同様に人材不足が深刻で、ナビゲーションアルゴリズムの需給比率は0.84から0.46へと低下した。

地域別の分布では、AI関連の求人は北京、杭州、上海、深圳に集中している。特に、北京の新規求人ではAI関連の割合が30.17%(新規求人10件につき3件がAI関連職)に達し、杭州は28.54%で上海と深圳を上回った。

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*1元=約23円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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