着陸脚を捨てて軽量化、使用コスト1割に 中国新興、タワー回収式ロケットで120億円調達

中国の再使用型ロケットメーカー「大航躍遷航天科技(Cosmoleap)」がこのほど、前海方舟や厚紀資本、普華資本など、複数の投資機関から5億元(約120億円)を調達した。資金は、中国初のタワー回収式ロケット「躍遷一号(Leap-1)」の開発と打ち上げ、100トン級液体酸素メタンエンジンの開発・試験に充てられる。

2024年2月に設立された大航躍遷は、ロケットのタワー回収技術を手がける中国初の民営メーカーとされる。米スペースXの「スターシップ」と同じく、アームを使って箸のようにつまむ回収方式を採用している。創業者の陳曙光氏は、国有ロケット開発大手の中国運載火箭技術研究院で勤務した経歴を持つ。

陳氏によると、着陸脚を使った従来の回収方式に比べ、タワー回収式ではロケットの重さを約6トン減らすことができ、1回当たりの使用コストも1割ほどに抑えられるという。回収システムはすでに、静的および動的な試験を通じて、信頼性の検証を終えた。

回収のカギ握る制御系を内製化

大航躍遷は、軽量化や推力の強化によってロケットの打ち上げ能力を大きく高めた。アルミニウム合金材を採用して機体を軽くしたほか、複数のエンジンを並列配置することで推力を向上させた。さらに、着陸脚を廃止することで重さを最大6トン減らし、打ち上げ効率を高めている。同社によると、ロケットの打ち上げ能力は、地上から200㎞の低軌道で約18トン、800kmの軌道でも約10トンになる計画で、主要な衛星コンステレーションのニーズに対応できる。

初代ロケットの推進システムは、打ち上げの信頼性を確保するため、80トン級液体酸素メタンエンジンを採用した。また、より推力が大きい次世代ロケット向けに150トン級液体酸素メタンエンジンを開発中で、進捗率は5割を超えたという。

同社はスペースXをベンチマークとして、制御システムを独自に開発している中国では数少ないロケットメーカーだ。陳氏は、エンジンの推力や複数回の点火、回収システムの精度が再使用型ロケットの大きな課題で、これらが制御システムに大きく依存しているとの見解を示した。他社のソリューションを採用すると、調整に多大な時間を要するため、自社で開発することにしたという。

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なぜ今か——衛星需要と供給網の成熟が追い風

「なぜ今参入するのか」という問いに対し、陳氏は3つの判断基準を示した。

まず、国有大手の中国衛星網絡や垣信衛星科技などによる大規模な衛星コンステレーションプロジェクトが相次いで始まり、打ち上げ能力が高く再使用可能なロケットへの需要が高まりつつあることだ。従来の小型ロケットでは、こうしたニーズに応えるのが難しくなった。

6トン供給面について、中国の商用ロケット産業では、一定規模のサプライチェーンが構築されている。エンジンの調達が可能なほか、タンクやバルブなど主要部品の専門サプライヤーも存在し、地上実証の民営化や沿岸部にある発射場の開放も進んでいる。

また、スペースXが打ち上げ能力の高い再使用型ロケットの実現可能性を実証済みのため、後発企業は技術開発で遠回りする必要が無い。陳氏は「これが後発企業の強みになる」と語った。

躍遷一号は、2027年の初打ち上げを目指す。

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*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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