「電源なしで1週間」中国発スマートキャンピングカー、50億円調達 北米市場を開拓

中国のスマートキャンピングカー新興企業「松鼠動力(Squirrel Power)」はこのほど、シリーズAで2億元(約50億円)超を調達した。元禾璞華(Oriza Hua)、元禾厚望(Oriza Rivertown)、金沙江連合資本(GSR United Capital)、中科創達(ThunderSoft)などが出資した。調達資金は主に、レンジエクステンダーを搭載したスマートキャンピングカーの車載規格適合に向けた検証や生産能力の拡大に充て、2027年の本格的な量産・納車開始に備える。

松鼠動力は2023年設立。キャンピングカーブランド「Evotrex」を展開し、独自の発電・蓄電一体化技術を軸に、アウトドア向けモビリティーの電動化・スマート化に取り組む。26年1月に米ラスベガスで開かれた「CES 2026」で、初の製品となるレンジエクステンダー搭載キャンピングカー「Evotrex-PG5」を発表した。価格は12万ドル(約1900万円)から。同社によると、予約では15万9990ドル(約2500万円)の上位モデルが全体の約9割を占める。顧客の多くは北米在住で、30~45歳のアウトドア愛好家が中心という。

独自開発した発電・蓄電一体化技術を軸に、アウトドア向けモビリティーの電動化とスマート化に注力

キャンピングカーでは、エアコンや調理家電などを長時間使用するための電源確保が課題となる。外部電源や追加のバッテリー、発電機などを利用するのが一般的だが、電源設備の容量や利用環境によっては長期間の滞在が難しい場合がある。松鼠動力は、単にバッテリー容量を増やすのではなく、発電用エンジンを組み合わせたレンジエクステンダー方式を採用した。

PG5は43キロワット時(kWh)のバッテリーと75リットルの燃料タンクを搭載する。燃料による発電分を含めた利用可能なエネルギー量は約270kWhに相当し、4人家族の場合、外部電源を使わず数日から1週間以上の滞在を想定できるという。

また、電動ピックアップトラックで牽引するとき、キャンピングカー自体に搭載されたモーターが自走をアシストするため、トラック側の航続距離の低下を抑えられる。さらに走行中は、キャンピングカーに積んだ発電機(レンジエクステンダー)からトラックへ電力を供給することも可能だ。大容量の電源を生かし、キャンプ用途だけでなく、家庭の非常用電源や移動販売などでの利用も想定している。

スマート機能も十分に盛り込んだ。インターネット経由でソフトウエアを更新するOTAや米スペースXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」に対応する。電動サンシェードやテールゲートなどを電子制御できるほか、モジュール式シートや72インチの車載シアター、リアテラスなども用意する。将来は内装や機能をユーザーが組み合わせて選べる仕組みを導入する計画だ。

スマートキャンピングカー「Evotrex-PG5」車内のモジュール化設計

松鼠動力は「PG5」を、発電・蓄電・スマート管理を一体化した移動式エネルギープラットフォームと位置づける。現在は耐久性や安全性、各国の認証などの検証を進め、27年の量産開始に備える。まず高価格帯モデルで市場の反応を見極めた後、装備を一部簡素化した低価格モデルも投入する計画だ。米国では販売から納車、アフターサービスまでを担う体制を整える。創業者の蕭昂氏は、当面の課題は受注獲得よりも、品質を確保しながら量産体制を構築することだとしている。

*1元=約23円、1ドル=約158円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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