整形外科手術用スマートロボット 高難度の脊椎手術にも実用化

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整形外科手術支援ロボットを開発する「鑫君特智能医療器械」(SURGITEC、以下「鑫君特」)がシリーズAで数千万元(約数十億円)の資金調達を行ったという。「晨興創投(The Morningside Group Limited)」がリードし、元出資者の「弘暉資本(HIGHLIGHT CAPITAL)」が参加し、「浩悦資本(Hao Yue Capital)」が資金調達コンサルタントを担当した。鑫君特は2015年に設立され、主力となる製品は現在販売準備中のスマート多機能手術システム「ORTHBOT(欧博士)」である。

鑫君特の会長姜黎威氏によると、ORTHBOTのナビゲーションシステムとロボットアームは自社開発したものであり、同社はこのロボットにおいて中国の特許を2件、実用新案を13件、米国特許1件を取得している。

近年、脊椎外科手術の技術には大きな進歩があったが、脊椎の構造は複雑であり、周囲に重要な血管と神経が集まっているため、手術の難易度とリスクは非常に高い。そのため、安全性と合併症を抑える方法が課題となっている。手術支援ロボットはこの課題に対応するために開発されたものであり、精度、動きの再現性に優れ、疲れることもないため臨床の場で広く使われ始めている。

しかし、ロボットを使用しても、手術のプランニング、術中の被曝、ボルト固定の正確性と安定性といった課題は残る。このことについて姜黎威氏は、鑫君特のロボットはスマートプランニングと正確な自動操作を実現しているため、こうした課題を解決できるという。

ORTHBOTのナビゲーションシステムとロボットアーム

ORTHBOTのスマートプランニングは可視光線によって行われる。デュアルレンズで対象物の画像を撮影し、画像を処理、解析し、理解した上でプランニングするものだ。従来の赤外線カメラと比べ、干渉に強く、フォールトトレランスにも優れている。

自動操作においては、ORTHBOTはスマートボーンドリルを搭載している。ナビゲーションによって指定された位置に到着すると、執刀医はワークステーションから指令を出し、ロボットがプランニングで決められた数値をもとに自動でインプラントを設置する。人の手と比べ、ロボットのほうがより動作が安定しており、誤差が少ないという。また、圧力センサーで術中に感じた抵抗を数値化し、手術の安全性を保証できるという。

深圳市の病院で行われた、このロボットを使った実際の手術において、執刀医とロボットの連携により、手術時間を従前より1時間短い1.5時間にすることができた。また、患者がX線に被曝した回数も80%減少した。

ORTHBOTは2018年に臨床試験を終えている。姜氏によると、今後12か月以内に承認され販売が開始される見込みだという。販売先としては大都市にある総合病院、地域医療センター、整形外科専門の病院、50万以上の人口を持つ県の病院などを想定している。

臨床では手術時間を従前より1時間短くできる.jpeg

脊椎手術のほか、鑫君特は人工関節置換手術、外傷手術などのシーンにおける新製品を開発中だという。

今後の市場規模については、統計データによると、整形外科のインプラント手術回数は2016年に290回に達し、2016〜2021年までの年平均成長率は10.2%と予想されており、2021年には472万回に達する試算がある。関節や外傷手術の平均価格が1回5万元(約75万円)、脊椎手術が平均で1回10万元(約150万円)だとすると、鑫君特は1千億元(約数兆円)規模の市場に進出していることになる。

姜氏によると、中国で消耗品を含む医薬品の集中調達の範囲が拡大するに連れ、病院は診療行為による料金徴収に重心を移しつつあるという。そのため、手術支援ロボットの利用により医師の作業効率の向上に対するニーズが高まり、ロボットの普及にとっては大きな後押しになる。しかし、マーケットはまだ成長段階にあるため、今後企業は医師が設備を使用できるようトレーニングを強化していく予定だ。

(翻訳:小六)

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