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繊維・織物のB2Bプラットフォーム「百布(baibu)」は、アプリの開発と運営を行う「蘇州巨細信息科技(以下「巨細」)」、製造実行管理システム(MES)の「広州飛舟情息科技(以下「織聯網」)」と戦略的合併買収(M&A)で合意し、華興資本控股(チャイナ・ルネサンス・ホールディングス)がこのM&Aの財務アドバイザー(FA)となることが分かった。
百布は2014年に創業。現時点で同社の事業はBtoBプラットフォームから以下の二大事業へと発展した。
・生機(きばた=染色加工前の生地)生産のクラウドファクトリーシステム。AIoTとSaaSサービスで川上の生機工場および卸し業者を結ぶ。このモデルは配車サービス大手「滴滴出行(Didi)」と類似している。まず川下の各受注を分類後一つにまとめ、システムによって生機工場内の各織機に配分する。生産後は納品日ごとにまとめ、検収後ユーザーに納品する。
・紡績完成品のBtoBプラットフォーム。卸し業者と川下の中小規模服飾メーカーの工場を結ぶ。そのベースとなっているのは生地データバンクであり、需給マッチング効率の向上により、一体化された倉庫・配送ネットワーク、物流管理、金融商品などの付加価値サービスを生かし、サプライチェーン(供給網)と取引の効率を向上する。
巨細の公式サイトによると、同社の主な事業内容は紡績管理ソフトウエア(統合基幹業務システム(ERP)、倉庫クラウドシステムなど)、紡績データ情報収集とマッチング、紡績貿易情報プラットフォーム、紡績関連のアプリなどだ。特許やソフトウエア製品の著作権も複数持っている。情報ソフトウエアとビッグデータサービスにより、政府、企業、商社などに繊維業界の現状を反映したデータおよび意思決定のエビデンスなどを提供している。
一方の織聯網は繊維業界の「IoT+インターネットプラットフォーム」の位置づけだ。主力製品は2016年7月に発売された「製造実行管理システム(MES)」と布地スピーディー生産プラットフォームだ。
19年12月、百布はシリーズDで3億ドル(約320億円)の資金調達を終えたとの報道の中で、19年の全ての生地の年間売上高とGMV(流通取引総額)は累計100億元(約1500億円)近くに上る。今年20年には同社のAIoT機器がカバーする織機は40万台に達し、業界織機の生産能力の26%強をカバーする見通しだと述べている。
百布による巨細と織聯網の合併買収後、紡績生地業界におけるIoTのカバー範囲は、中国国内の20%以上の織機に及ぶことになる。百布は一躍、業界内でAIoT機器がカバーする範囲が最も広いサービス事業者となる。
百布によると、今回の合併買収で同社のクラウド工場とスマート織布サービス能力が一段と向上する。そのことで、受注、金融、生産、倉庫、物流などの全プロセスのデジタル化を実現でき、最終的には取引効率が向上するという。
18年末から現在まで、服飾紡績サプライチェーンは勢いづいており、10件超の資金調達も相継いで行われ、1億元(約15億円)を超える多額の資金調達も珍しくない状態だ。従来型のBtoBプラットフォームや特定業界のSaaSサービスからクラウド工場モデルに至るまで、各種ビジネスモデルおよび細分化された各分野のいずれも投資家の人気を博している。隙のない投資ロジックと手法を有する投資家が、この1兆元(約15兆円)を超える市場規模とまたとない絶好のチャンスをみすみす見逃すはずがない。とはいえ、いずれの企業であっても業績が右肩上がりで、組織がしっかりしていればすぐに注目されることにはなるのだが。
しかも百布はこの大きな流れの発祥地でもある。18年11月、百布はタイガー・グローバル・マネジメントがリードインベスターとなったシリーズC2で資金調達を終えたと発表。その後は投資者が次々と押し寄せた。
今回の合併買収以前はと言えば、百布とテキスタイル産業の最適化を図る中国企業「智布互聯(Smart Fabric)」を始めとするアパレル・紡績関連のIT企業は、依然として自社の勢力範囲の拡大に躍起になっていた。資金調達回数や織機の規模のいずれにおいても業界トップを走る百布により、繊維業界が統合時期の白兵戦に入ったことのシグナルが発せられたことには間違いない。
今後一年において、「規模」が業界の中心的なキーワードとなるだろう。だが同業種の企業がこの機会に乗じて新規参入するのも難しい現状だ。
(翻訳:lumu)
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