AI活用の創薬ベンチャー「neoX」が約10億円の資金調達、米メルクなどと共同開発へ

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AI活用の創薬ベンチャー「neoX」が約10億円の資金調達、米メルクなどと共同開発へ

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7月6日、創薬ベンチャーの「星亢原生物(neoX Biotech、以下「neoX」と略称)」が1千万ドル(約10億円)級のプレシリーズAの資金調達を行ったと発表した。リードインベスターは「元璟資本(Vision Plus Capital)」とセコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド、コ・インベスターはエンジェルラウンドでも出資した「晨興資本(Morningside Venture Capital)」。調達した資金は人材募集、ハイスループットスクリーニングラボの拡充、外部との共同開発によるパイプラインの拡充などに使われる。同社はエンジェルラウンドにおいて晨興資本と「真格基金(ZhenFund)」から数百万ドル(約数億円)を調達している。

AIと計算生物物理学の融合による創薬

新薬の開発は試行錯誤と経験に頼るところが大きく、10年以上の期間と10億ドル(約1000億円)の予算をかけても、成功率は10%未満と言われているが、近年のAIと計算生物物理学の進歩、さらに計算力とハイスループットスクリーニング設備の開発によって、新技術を採用した創薬ベンチャーが多数誕生しており、新薬開発のあり方と市場の構造を変えつつある。

neoXはAIと計算生物物理学によって創薬研究を行う企業である。AIは統計学的にデータを分析することができるが、そのためには高品質のデータを入手することが課題となり、また人体の複雑さを十分に反映できないという可能性がある。計算生物物理学は生物の生理メカニズムに基づき、どのようなタンパク質が疾病に有効なのかを計算によって導く方法だが、それには膨大な計算量が必要であり、メカニズムの面でまだ解決できていないことも多い。

そこで、neoXは2つの手法の強みを取り入れ、高精度と汎化性能を保証した上で、計算量とコストを減らすことに成功した。同社の技術は創薬研究の効率性を高めるとともに、技術面で参入障壁を築くことができている。

複数の有名製薬メーカーと共同開発

neoXが選んだ創薬研究の方向は、がん免疫療法に必要な新生抗原、PROTAC(タンパク質分解誘導キメラタンパク質)、抗体である。これらは近年急速に注目されるようになった分野であり、大きな研究成果が期待できるものでもある。また、複数のパイプラインを持つことで、単一分野に絞った開発が失敗した場合のリスクを回避できる。

neoXと共同開発をしている製薬メーカーには、米メルク・アンド・カンパニー、米BioDuro(バイオデューロ)」などの大手企業もあり、このことは同社が製薬業界で一定の評価を得ていることを裏付けている。

現時点のneoXは、外部の製薬メーカーとの共同開発によって、早期にキャッシュ・フローを確保するとともに、それを使った技術を開発していくというビジネスモデルである。会社がさらに成長すれば、自社開発のパイプラインを進めていく可能性もある。

各分野の専門家からなる経営陣

neoXの経営陣は、計算化学、生物物理学、AI、免疫学、生物学など各分野の専門家からなる。それにより最新の知見を創薬研究に生かすことが可能となっている。

共同創業者兼CEOの陳航氏は、MIT(マサチューセッツ工科大学)の物理化学博士であり、同大学の計算免疫学ラボで勤務した経験を持ち、機械学習や免疫学にも精通している。「IDG資本(IDG Capital)」によって「30才以下の起業家30名」に選ばれ、MIT中国イノベーションと起業フォーラムの会長を勤めている。

共同創業者兼CTOの劉帆氏は、カリフォルニア工科大学の計算化学博士で、がん免疫療法計算モデルを専門とする。劉氏は米国国立システムバイオロジーセンターのポスドク研究員、中国のバイオ製薬大手「百済神州(BeiGene)」の計算化学担当のチーフ研究員を歴任し、数多くの新薬開発に参画してきた。

上記2名のほか、neoXの開発チームには北京大学、米ライス大学、中国科学院、独ヘルムホルツ感染研究センターなどトップクラスの研究機関や、米メルク・アンド・カンパニーのような大手製薬メーカー出身の研究員が在籍している。

(翻訳:小六)

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