乳幼児の突然死を防ぐ 睡眠時呼吸を見守るスマートセンサーが活躍

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乳幼児を抱える母親にとって不安は尽きない。赤ちゃんが正常に呼吸しているか気になり、夜中も安心して休めないケースも多い。

実際、予期せずに亡くなる乳幼児は米国だけでも毎年約3500人に上っており、「乳幼児突然死症候群(SIDS)」が新生児の死因の実に半数以上を占めているという。

SIDSや不慮の事故を防ぐためのソリューションを提供しているのが、ベビーテック企業「数智医療(Quantmed LifeTech)」だ。同社は「Ortiz」「QuantMed」など複数のブランドを運営しているほか、英国に完全子会社「Institute for Future Health」を設立して、グローバル展開を進めている。

数智医療傘下のブランドOrtizからは、未熟児・新生児用呼吸センサーやスマートベッドパッドなど、乳幼児の健康や睡眠に特化した製品がリリースされている。

Ortizの製品ラインナップ

Ortiz呼吸センサーは新生児や未熟児向けに開発された医療用レベルの睡眠時呼吸センサーで、新生児の世話のために睡眠の質が大きく低下する親の負担を軽減する狙いがある。

創業者の金安迪(Andi Jin)博士によると、開発中の睡眠モニターは、コンピュータビジョンやモーションキャプチャなどの技術を活用して乳幼児の睡眠を見守り、分析したデータに基づいた育児アドバイスも提供する。これと共に寝かしつけ機能付きスマートベッドパッドやコクーン型ベッドなどの睡眠関連製品を活用すれば、新米パパママにも安心して休んでもらえるようになる。

同社の製品は見たところ単純に思えるかもしれないが、実際には多くの技術的ハードルを乗り越えてきた。開発チームはコアアルゴリズムの構築と改良だけで8カ月近くを要したという。

乳幼児は動きが非常に複雑なのに加えて、両親の心音や動きが誤検知につながるため、Ortizのデバイスでは数十種類の異なるシグナルを検出できるようになっている。ただその中から必要なシグナルだけを取り出し、乳幼児の呼吸や体動を算出するのは簡単なことではない。しかも月齢ごとに異なるシグナルやデータのリアルタイム送信など、開発面で多くの難所を乗り越えてきたことがうかがえる。

数智医療は製品の性能やラインナップを一定水準にまで充実させたうえで、昨年末から大規模な販売チャネル開拓とマーケティングに着手した。販売代理店やベビー用品チェーン店などのオフラインとECサイトやライブコマースなどオンラインの両面に力を入れており、すでに一定の成果が見られているという。

金博士によれば、大々的なプロモーションの前に製品のアルゴリズムを7回も更新し、アラームの誤作動をなくして、安全かつ効果的に使用できるようにしたという。Ortizブランドの今年第1四半期の売上高は300万元(約4600万円)を超え、その後も順調に販売を伸ばしている。

Ortizスマートベッドパッド

購買力がありテクノロジーに抵抗がない若いパパママ消費者層、収益性の高いベビー用品、さらに第2子解禁という政策の追い風もあって、ベビー業界は好況に沸いている。ただ中国ではベビーテックの分野で圧倒的な支持を集めるブランドはいまだ現れておらず、依然としてブルーオーシャンの状態だ。

世界的には知名度の高い海外ブランドもあるものの、比較的高価で中国向けの販路も確立されていない。数智医療は中国国内の販売ルートや低価格という強力な武器で海外ブランドを大きく引き離している。

目下、数智医療は初めての資金調達を進めているところだという。
(翻訳・畠中裕子)

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