設立90日でユニコーン誕生 元アリババ幹部創業のロボット企業、「Optimus」を照準に

中国IT大手アリババグループ傘下のクラウド事業・阿里雲(アリババクラウド)中国国内事業の元総裁・任庚氏が創業したエンボディドAIのスタートアップ「昆侖行機器人」がこのほど、設立から90日足らずで3回の資金調達を完了し、調達額が累計で数十億元(数百億円)に達したと発表した。企業評価額は10億ドル(約1600億円)を突破し、エンボディドAI分野のユニコーン企業の仲間入りを果たした。

出資陣の顔ぶれも注目を集めた。高瓴資本(Hillhouse Capital)、高榕創投(Gaorong Ventures)、中科創星(Casstar)、創新工場(Sinovation Ventures) 、鐘鼎資本(Eastern Bell Capital) など、中国トップクラスの投資機関が3ラウンドにわたり出資したほか、コングロマリット建発集団(C&D Group)傘下の産業投資会社も出資に加わった。関係者によると、昆侖行は正式な設立手続きを終える前の段階で、すでに評価額がユニコーンの水準に達していたという。

昆侖行は2026年設立のヒューマノイド(人型ロボット)企業で、「ロボット本体」と「頭脳(AI)」を二本柱とし、両者の相乗効果を生かす開発戦略を掲げ、テスラのヒューマノイド「Optimus」をベンチマークに据えている 。現時点では具体的なロボット製品をまだ公開していないものの、自社開発の「昆侖世界モデル(Kunlun World Model)」を中核とするロボット向けAIアーキテクチャを先行して発表している。

テスラが「Optimus」の改良を重ね、中国のロボットメーカー・宇樹科技(Unitree Robotics)もIPOに向けた準備を加速する中、資本市場ではエンボディドAIへの関心が再び高まっている。ある投資関係者は、現時点で、エンボディドAI企業を評価する上でもっとも重要なのは創業チームのバックグラウンドだと指摘する。そして、投資機関が昆侖行を高く評価する主な理由も、創業チームが事業化と量産化の両面で豊富な経験を備えている点にある。

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任庚氏は、長年にわたりアリババクラウドの中国国内事業を統括し、同社の法人向け(To B)事業体制の構築を支えた。同氏の在任期間中、アリババクラウドは中国のパブリッククラウド市場で首位を維持し続けた。共同創業者の郎咸朋氏は、中国EVメーカー理想汽車(Li Auto)のスマート運転部門の立ち上げを担った初期メンバーで、低コストでゼロから研究開発体制を構築し、チームを率いて累計150万台以上に高度運転支援ソリューションを提供した。

昆侖行はハードウェアとソフトウェアのフルスタック自社開発を掲げ、ロボット本体と「頭脳」の両面で開発を進めている。自社開発の昆侖世界モデルを中核とするロボット向けAIアーキテクチャを打ち出し、AIモデルの汎化能力や意思決定効率の向上を目指す。ハードウェア面では、主要部品や運動制御アルゴリズムの開発に取り組むほか、モジュール化設計を通じて異なるロボットプラットフォームへの適応コストの低減を図る。

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一方で、汎用型ヒューマノイドが大規模な商用展開に至るには、まだ多くの課題が残っている。業界では、ロボットハンドやロボットアームなど主要部品の耐久性、コスト、サプライチェーンがボトルネックになっているとの見方が一般的だ。また、ロボットの「頭脳」が複雑な環境下で十分な汎化能力を発揮できるかについても、さらなる検証を必要としている。

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それでも、市場では汎用型ヒューマノイドの長期的な成長に対する期待は大きい。モルガン・スタンレーは、世界のヒューマノイド市場が2050年までに5兆ドル(約750兆円)規模に達する可能性があると予測している。AIモデルやハードウェア、サプライチェーン整備が進むにつれ、エンボディドAIは世界のテクノロジー企業や投資家が競い合う新たな領域になりつつある。昆侖行が創業チームの経験と資金力を生かして、いち早く量産化への道を切り開けるか、その真価は今後の市場で問われることになる。

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*1ドル=約160円で計算しています。

(翻訳・Hu Xin)

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