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中国アリババ・グループが今月16日、世界初となるスマート・マニュファクチャリングのプラットフォーム「犀牛智造(Rhino Smart Manufacuturing)」を発表し、業界内からは「中国工業4.0」の実験室が始動したと評価されている。
発表翌日、アリババはさらに中国国内市場向けに展開するB2Bプラットフォーム「1688.com」をアップグレードさせる計画だと発表した。3年以内に売上高1億元(約15億5000万円)越えの工場を1000以上誕生させる目標だという。また、中小メーカーのノーブランド品を工場直販で一般消費者に提供するC2Mプラットフォーム「淘宝特価版(Taobao Tejia)」を1688.comと相互連携させるとした。
以上のプロジェクトを通じ、アリババはオンデマンド生産・卸売り・小売りを網羅する三大データプラットフォームを構築し、中国国内に670万存在するといわれる工場が業種を跨いで発展する手助けをしていく。加えて、各企業の購買業務に付随する資金問題を解決すべく、サプライチェーン・ファイナンスのサービスも提供するという。
デジタル時代の未開の地、製造業
中国では過去十数年で、最も高度にデジタル化を遂げた産業は小売業だとされてきた。反対に、商品の生産現場である工場では依然として顧客から受注して初めて生産に移るという受動的な状態が続く。しかし中国を取り巻く状況は大きく変わり、とくに今年は貿易が大きな打撃を被ったために、中国の工場はこぞって海外取引・国内取引の両輪で経営を維持する道を探ることとなった。
こうした状況に適応し、事業モデル転換に成功するには、メーカーが消費者との距離を近づけ、間断なく変化する消費需要をキャッチすることが鍵となる。プラットフォーム型の企業にとってもこれは好機だ。如何にジェネラリストとしての実力を活かし、プラットフォームに加盟するメーカーのデジタル化を加速させるかが競争の焦点となる。
今年初め、家電量販大手の蘇寧易購(Suning.com)は河北省に初のC2M産業地帯を設け、その竣工式で新プロジェクトおよび6つの提携工場について明かした。
蘇寧の共同購入プラットフォーム「蘇寧拼購(Suning Pingou)」を統括する張奎総経理によると、誠実にものづくりに携わりながらも、ブランド力・販路・プロモーション手段を持たなかった中小メーカーと提携し、高コストパフォーマンスかつ消費者のニーズに刺さる商品を生み出していくという。商品は同社が展開するコンビニチェーン「蘇寧小店(Suning Xiaodian)」や同社が地方向けに展開するスマートリテールプラットフォーム「零售雲(Suning Retail Cloud)」で取り扱う。生産から流通までを一気に繋ぎ、中間卸売業者を徹底して省いていくという。
EC大手の京東集団(JD.com)も今年6月、広東省との協業で中小企業をターゲットとしたプロジェクトを打ち出した。傘下のソーシャルコマースプラットフォーム「京喜(JXI.JD.COM)」を通じてサプライチェーンを構築し、工場や農家がオンライン販売システムやライブコマースといった手段で地方市場を開拓する支援をしていく。京喜は京東がこれまでに蓄積したビッグデータを活用し、貿易企業が商品の最適化を図って国内市場で的確にユーザーを獲得できるような支援も試みる。
京喜と同じく地方市場をターゲットとした共同購入プラットフォームを展開する「拼多多(Pinduoduo)」も新事業をローンチした。同社によると、新事業「拼多多批発」は中小企業向けの取引プラットフォームで、集客支援や調達先の提供を行う。
製造業に着目するIT大手
中国の製造業は長きにわたってスマイルカーブの最底辺にあった。中国の工場、とくに輸出商品を主に手がけてきた工場は環境の変化に適応する能力が低い。こうしたメーカーは新型コロナウィルスの感染爆発を受け、多くの展示会や海外からの受注案件が立ち消えとなる中、急転換を迫られることとなった。
これを解決する鍵となるのがデジタル・トランスフォーメーション(DX)であり、とくに産業地帯全体のDXが重要となってきた。ここに目をつけたのが、技術と集客力の双方に優れるIT大手企業だ。
中国商務部が産業地帯のDXについて調査した最新レポートによると、現時点ではアリババのB2Bプラットフォーム1688.comが中国国内の172の産業地帯を網羅しており、中小企業がDXを実現するための主要経路となっている。
この1688.comが同じくアリババ傘下のC2Mプラットフォーム淘宝特価版と連携することで、国内最大のメーカー検索エンジンおよび次世代卸売プラットフォームが誕生した。また、淘宝特価版も国内最大のC2M小売プラットフォームとなるだろう。1688.comと淘宝特価版は中国国内に散在する670万の工場という供給源を共有する。しかし、エンドユーザーについては1688.comが小規模企業、淘宝特価版が一般消費者となっている。
オンラインとオフラインを融合させる事業モデルは、単純に業者からの発注を待つだけだった従来型の工場が、受注に加えて自ら卸売や小売を手がける「三本立て体制」を実現した。これにより、生産現場が市場の変化に対応していく能力は強化される。
アリババC2M事業部を統括する汪海氏は、市場への適応力の向上は生産効率を上げていくことと同様、メーカーにとって重要だとする。これをバックアップするのが、同社の立ち上げたスマート製造プラットフォーム犀牛智造だ。5分で2000個の商品を製造できる工場が、消費者のニーズを的確に捉え、これを製造現場と密接に連携させることが可能になると、同じ5分間で消費者の多様なニーズに応える2000個の異なる商品を生産できるようになるという。
(翻訳・愛玉)
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