特集注目記事

中国の使用済みEVバッテリー問題、多くが非正規ルートで流通

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

あなたの使っているハンディ扇風機は、テスラなどEV(電気自動車)の電池を再利用したものかもしれない。中古品取引プラットフォームで「テスラ18650リチウムイオンバッテリー」と検索すると、何百件もの商品情報が表示される。ECプラットフォームにもEVから回収された大量の使用済みバッテリーが出回っており、出品者の多くは個人や中小企業だ。これらバッテリーの用途は幅広く、電動自転車や電動工具のほか、ハンディ扇風機に使用されることもあるという。

重さ20グラムのスマートフォンバッテリー1つで、1平方キロメートルの土地が50年間も汚染されると言われている。使用量が桁違いのEV用バッテリーの場合、大量の重金属や有害物質が含まれているため、適切に処理しなければ大規模な汚染を引き起こす恐れがある。しかし現実には、上述のような非正規ルートで販売される使用済みバッテリーの数は増加するばかりだ。

「正規」の企業はごくわずか

中国汽車工業協会(CAAM)のデータによると、2020年の新エネルギー車の販売台数は前年比10.9%増の136万7000台で、現在も増加の勢いは増すばかりだ。

それに伴い、使用済みバッテリーも増加の一途をたどっている。バッテリー業界関係者の話によると、一般的にリチウムイオンバッテリーは5~6年で劣化するという。中国のEVブームで大幅に増えた駆動用バッテリーがこれから退役のピークを迎えることになる。

こうして生み出される新たな市場は1000億元(約1兆7000億円)規模になるとも言われている。市場調査会社MarketsandMarketsは、2030年までにEV用バッテリーリサイクルの世界市場は181億ドル(約2兆円)に達すると予測しており、その中でも中国は最大規模の市場になるという。

このような背景のもと、車載バッテリー大手「CATL(寧徳時代)」やEV大手「比亜迪(BYD)」などの大企業が駆動用バッテリーのリサイクル事業に乗り出したほか、「格林美(GEM)」や「四川長虹潤天(Changhong Gerun)」などバッテリーリサイクルを専門に手がける企業も現れてきた。企業情報検索サイト「天眼査(Tanyancha)」によると、中国でバッテリーリサイクル関連企業は3000社を超えているという。

過熱するバッテリーリサイクル市場だが、法令に沿った正規業者は非常に少ない。中国工業情報化部「新エネルギー車廃棄動力蓄電池総合利用業界規範条件」の要求を満たした正規企業として「ホワイトリスト」に載せられているのはわずか27社にとどまる。

危険な非正規ルートが勢力拡大

バッテリー取引のクラウドプラットフォーム「新能源電池雲平台(Batterycloud)」創業者の呉奇斌氏によれば、ホワイトリスト掲載企業は主にバス会社や物流関連企業など事業者向けにビジネスを展開しているが、使用済みバッテリーの大部分は消費者向け製品から生じるという。供給源が極度に分散しており、輸送コストや人件費がかさむため、ホワイトリストの企業はほとんどこの分野には参入していない。多くの業界関係者は、この点で最も有利なのが自動車メーカーや駆動用バッテリーメーカーだと考えている。トレーサビリティによってバッテリーの全ライフサイクルを管理し、バッテリー産業のクローズドループを作り上げることができるからだ。

EUや日本ではバッテリーの生産側が主体となってリサイクルを推進しているが、中国でも同様の動きを見せる自動車メーカーが少なくない。BMWの中国法人は6月18日、ディーラーを通じた高電圧バッテリーリサイクル管理システムを確立することを発表した。これ以前に比亜迪も同様の使用済みバッテリーのリサイクル事業を立ち上げている。

ただ、バッテリーリサイクル産業そのものがまだ形成途上にあることに加えて、環境保護基準を満たすためのコストがかかり収益化が難しいという問題もある。このため多くのホワイトリスト企業は二の足を踏んでいるのだ。この点で町工場のような小規模事業者は投入コストが少なく価格も抑えられるため、市場競争においてより優位に立っている。

(画像:閑魚)

現在、広東エリアを中心に非正規ルートを通じて使用済みバッテリーが大量に出回っているというが、専門的な設備も技術も持ち合わせていない町工場経由のバッテリーは、発火や爆発などのトラブルを招きやすい。

バッテリーリサイクル企業の収益性を高めて正規のリサイクル業者を増やすには、政府関連部門が規制を強化することに加えて、持続可能なビジネスモデルを模索するよう企業をリードしていく必要があると、多くの業界関係者が指摘している。
(翻訳・畠中裕子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録