シャオミ幹部 「EV誘致巡る噂は全部デマ」。西安、武漢、合肥…次々と「交渉中」

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中国スマートフォン・IoT家電大手のシャオミが、EV(電気自動車)製造に関して安徽省から打診を受けており、合肥市での事業展開を持ちかけられていることが分かった。

「合肥市とシャオミとの間で交渉が進んでいるところだ。シャオミが合肥市に拠点を構える可能性もあるが、誘致に関わる具体的な政策はまだはっきりしていない」と、事情を知る人物は語る。

合肥市に本社を置く自動車メーカー「江淮汽車(JAC)」がシャオミEV事業のOEM生産を行うと報じられたが、その後JAC側は「事実ではない」とコメントした。「江淮汽車はブランド力が弱いものの、NIO(蔚来汽車)やフォルクスワーゲンと提携し、OEM生産のノウハウを蓄積してきた」とJAC関係者は語る。

企業情報検索サイト「天眼査(Tianyancha)」では6月23日、シャオミ創業者の雷軍CEOが70%の株式を保有する系列会社「有品信息科技(Youpin Information Technology)」の事業内容に、新エネルギー車販売やバッテリー交換設備の販売が追加されており、関係者の証言を裏付ける形になっている。

画像:天眼査

投資機関の情報筋は「合肥市の(新エネルギー車)産業基盤は申し分なく、シャオミにとっては魅力的だろう」と語る。これより前には中国EV大手「比亜迪(BYD)」が合肥市への進出を決め、提携プロジェクトが8月末に着工することになっている。同市にはNIO、フォルクスワーゲンのほか、「安凱汽車(Ankai)」や「長安汽車(Changan Auto)」など新エネルギー車製造企業120社余りが集まっており、完成車からコア部品、関連サービスまでをカバーしたインダストリアルチェーンが出来上がっている。

現在、合肥市ではEV製造の工業団地「ネオパーク(新橋智能電動汽車産業園区)」が建設中で、2022年第3四半期には年産能力100万台体制で操業を開始する。これはシャオミにとって願ってもない好条件だと、関係者は指摘する。

シャオミと合肥市との関わりも深い。シャオミの雷軍CEOは自身の率いる「順為資本(Shunwei Capital)」を通じて、NIOに出資を行っている。そのNIOに対して合肥市は70億元(約1200億円)を出資し、中国本部の誘致に成功した。シャオミのエコシステムを構成する企業に対しても、安徽省のサポートは手厚いという。

画像:NIOの目論見書の一部キャプチャ

「安徽省新エネルギー自動車産業発展行動計画(2021~2023年)」によると、安徽省は2023年までに影響力を持つ新エネルギー車メーカー3~5社を育成することを目指し、世界規模の新エネルギー車・コネクテッドカーの産業クラスターを作り上げるとしている。

画像:シャオミ公式サイト

雷軍CEOは今年3月末にシャオミのスマートEV事業の立ち上げを発表し、今後10年間で100億ドル(約1兆1000億円)を投入することを明らかにした。その直後からシャオミEV事業の争奪戦が勃発した。西安市、武漢市、北京市、上海市の4都市がシャオミとの提携の意向を示したのだ。

4月には西安市と武漢市の当局がそれぞれ、シャオミと交渉中であることを明らかにしている。6月以降はシャオミの公式サイトに自動車関連職種の求人が100件以上掲載され、その勤務地に北京市と上海市が含まれていたことから、開発設計の拠点は上海に置かれるのではとの臆測も飛び交った。

これを受けて、シャオミ広報部の王化総経理はSNSウェイボー(微博)の個人アカウントに次のように投稿した。「最近、我が社のEV事業に関するうわさが度をすぎている。拠点は北京だとか、上海だとか、武漢は誘致に失敗したとか、これらはみな根拠のないデマであり、シャオミが公式に発表した情報が全てだ」

シャオミは今や業界内で引く手あまたとなっている。地方政府が誘致を争うだけでなく、多くの自動車メーカーもシャオミのOEM生産を受託しようと必死だ。EV製造への参入を表明してから、雷軍CEOは各地へ視察に赴き、複数の大手自動車メーカーと接触している。

今年上半期、シャオミがEVメーカー「愛馳汽車(Aiways)」を70億元(約1200億円)で買収するという話が持ち上がったという。ただ「金額面で折り合わず、愛馳汽車側の生産品質の問題もあり、この話は物別れに終わった」と愛馳汽車の関係者は明かしている。
(翻訳・畠中裕子)

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