ミャンマーの起業支援機構、社会的意義の高い事業を続々生み出す

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ミャンマーの起業支援機構、社会的意義の高い事業を続々生み出す

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ソーシャルイノベーションとテックを組み合わせた新規事業を支援するミャンマーのインキュベーターについて、BoPビジネス関連支援企業Diinsiderの記事を引用しながら注目の5社を紹介する。

Phandeeyar

国内最大の影響力を有するテック系スタートアップの支援組織。社名は「ミャンマーの革新的実験室」を意味する。2015年にヤンゴンで設立、年平均5~8社のインキュベーションに参画し、シードラウンド出資も行っている。支援企業へは2万5000ドル(約285万円)出資の対価として、12%の株式を保有する。

Phandeeyarが支援した代表的なスタートアップは、クラウドソーシングサービス「Chate Sat」。Phandeeyarはフリーランス人材5000人と求人企業800社を集めた上に、出資者となるVCも紹介した。他にもオンライン旅行サイト「GoP」、ホテル予約サイト「EZ Stay」、漫画アプリ「White Merak」などを支援している。

Impact Hub Yangon

世界50カ国の70都市で展開する2005年設立のコワーキングスペース「Impact Hub」は、ヤンゴン市に2カ所の施設を設けている。社会の変革を志す起業家や投資家など業界の垣根を越え、人をつなげるコミュニティを運営。起業コンサルティングやデザイン思考のワークショップなどでアントレプレナーのサポートも行う。

Impact Hubの会員企業は、東南アジア向けモバイル決済プラットフォーム「CODA Pay」、国産コーヒー豆をフェアトレードで取引するアグリ系企業「Genius Coffee」など。

Rockstart Impact

インパクト投資ファンドOne to Watchと欧州のアクセラレーターRockstartが協業し、2014年にネパールで誕生。100日間限定の起業家育成プログラムを提供するほか、企業家と投資家をマッチングする。ミャンマーではこれまで200人の投資家を起業家と引き合わせ、その7割で出資が成立している。

Rockstart Impactが支援した企業の一例は、ミャンマーの主要農産物である唐辛子の品質向上に携わる「Natural Fresh Farms Myanmar」。国内の多くの唐辛子生産者は生産量を水増ししようと唐辛子を半乾燥の状態で出荷するため、発がん性物質のアフラトキシンが発生しやすくなる。実際、サンプリング検査を行なった国産唐辛子パウダーの6割はアフラトキシンに汚染されていたという。Natural Fresh Farms Myanmarはこうした状況を改善し、食品安全の向上にひと役買っている。

SPRING

英国際開発省、米国際開発庁、豪外務通産省などが共同で設立した新興市場対象のアクセラレーター。ミャンマー、南アジア、アフリカで運営している。9カ月間の創業プログラムを実施するが、支援の対象となる事業は「少女への経済支援に関連するプロジェクトであること」との条件が付く。女児の就学や心身の健康向上、女性の経済教育などに携わるアジア・アフリカの55社が支援対象となってきた。

SPRINGが支援したミャンマー企業の一例は、ヤンゴンに拠点を置く社会的企業「Doh Eain」や医療系テック企業「Koe Koe Tech」。Doh Eainは、自然・文化遺産の保護や公共空間の改善に携わる。歴史的建築物の所有者と周辺住民をつなぎ、修復や保護に従事する人材を育てる。Koe Koe Techは妊産婦や乳児を主な対象に、健康管理をサポートするアプリや、移動診療を提供している。

Koe Koe Techの妊産婦向けアプリ

Micro Empire

若者や女性、人身売買の犠牲者を対象に、起業実現のサポートを行う。当初は学校教育の提供と500~2000ドルの開業資金貸与に限定していたが、現在では優秀な人材を選抜してエクイティ投資のかたちで5000~1万ドルを提供する制度も設けている。また、開業支援だけでは後が続かないケースが多いため、財務管理の研修を通じて持続的経営も支援する。2016年の設立以来、12社への支援を行っている。
(翻訳・愛玉)

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