スターバックスのデリバリー事業は前途多難か

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スターバックスのデリバリー事業は前途多難か

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スターバックスコーヒーは今年、アリババグループ(阿里巴巴集団)と提携して、デリバリーやスマートストアを中国で開始した。

ケビン・ジョンソンCEOは、米ニュース専門局CNBCのインタビューで「中国で立ち上げたデリバリー事業をひな形として、米国を含む各国にも導入したい」と述べている。

中国の140都市ですでに3400店以上を展開するスターバックスは、中国市場でも自らの運営モデルにこだわってきた。しかし、今年7月以降、同社にとっては芳しくないニュースが続いている。今年の第3四半期決算では中国進出以来、初めて中国事業の売上高が減少に転じ、既存店の売上高は前年同期比2%減となった。続いて10月には欧州事業の縮小を発表。フランスとオランダの83店舗を、メキシコの飲食業大手アルセア(Alsea)に譲渡すると決定した。

成長に陰りが見える中、新たな施策が急務となっている。中国市場で言えば、モバイル社会のニーズを上手く掴んだ「瑞幸咖啡(luckin coffee)」など、地場の新興チェーンも脅威だ。今回のデリバリー事業は、スターバックスが見せた初めての妥協だろう。

今年第4四半期の決算では、デリバリー事業がスターバックスにとって吉と出たことが窺える。アリババとの提携がさらに進めば、その背後には6億人という膨大な数のユーザーが控えている。

問題は顧客の本音だ。彼らはスターバックスのデリバリーを心から歓迎しているのだろうか?

スターバックスがデリバリーを開始する前から、中国では非公式の「スターバックス代理購入サービス」が横行していた。実は、公式のデリバリーサービスより、こうした代理購入サービスを利用した方がかなり安い。36Krの特約記者が実際にスターバックス3店舗を取材したところ、デリバリーの月間受注件数は非公式サービスに遠く及ばなかった。中には受注ゼロの店舗もあったという。

現実的にはこうした代理購入業者を一掃することは不可能だ。彼らは間断なくクーポンやキャンペーンを提供し、消費者の注意をひきつけている。スターバックスが見落としているのは「価格がすべてに勝る」という原則だ。いくらサービスやシステムが向上しても、消費者にとってそれらは二の次だ。ところが、スターバックスは今月6日に中国市場の一部商品で値上げに踏み切った。

中国市場での検証を経ずに、デリバリー事業を海外でも展開することは得策なのだろうか?各国それぞれの特異な地域事情も考慮しなければならないだろう。

モルガンスタンレーの元アナリストでベンチャー投資家でもあるメアリー・ミーカー氏が毎年発表する「インターネット・トレンド」によれば、2018年の米国のフードデリバリー市場はやや成長したものの、勢いがある中国市場とは比較にならず、また、米国最大のデリバリープラットフォーム「グラブハブ」での受注の90%はモバイルアプリではなく、電話によるものだという。中国とはあまりにも状況が異なるのだ。
(翻訳・愛玉)

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