車載用AR HUDを手掛ける「Raythink(鋭思華創)」が資金調達、国内外から自動車メーカーから受注

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車載用AR(拡張現実)対応HUD(ヘッドアップディスプレイ)製品と関連システムを開発する「深圳鋭思華創技術(Raythink)」がシリーズA+で1億元(約20億円)を調達した。「成為資本(CHENGWEI CAPITAL)」が主導し、国有通信大手中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)傘下の「聯通創新基金」も出資に参加した。

鋭思華創は2019年設立で、ADAS(先進運転支援システム)に独自のアルゴリズムを組み込んでスマートコックピットのエコシステムを形成している。

統計によると、中国の乗用車用HUD製品の出荷台数は2020年は76万5000台で、市場浸透率は約4%だった。うち大多数がWS(ウインドシールド)HUDだ。しかし、自動車のIT化や自動運転など機能の向上に伴いAR HUDが成長し、中国のAR HUD市場規模は2025年に50億元(約1000億円)以上になると見込まれる。

AR HUDはWS HUDよりも表示する情報が豊富で、車の周囲環境の情報に合わせて道路表示や衝突回避アラームなど正確なナビゲーションを提供する。一方、AR HUDのモジュールと技術にはより高い水準が求められる。

AR HUDのコアモジュールはPGU(Picture Generation Unit、画像生成ユニット)で、現在のPGUはTFT(薄膜トランジスタ)、DLP(デジタルライトプロセッシング)、LCOS(反射型液晶)、LBS(レーザービームステアリング)方式が主流だ。

鋭思華創のPGUは、自社開発したレーザービームスキャンで画像を生成する技術を搭載する。このPGUは高輝度、高コントラスト比という特徴を備える。全体の体積を縮小すると同時に視野角を拡大したほか光チップの電力消費を低減し、AR HUDの逆光で残像が残るという問題を解決した。

PGUの開発能力がある鋭思華創は、多方面で優位に立っている。製品コストの軽減のほか、新しい需要や画像生成技術にも適切に対応でき、PGU製品のサイズや性能を自ら決定できる。このほか、自社開発したPGUはARのアルゴリズムとエンジンを融合するため、データの迅速なアクセス、マッチングや処理が可能だ。

盧氏は「自動車メーカーがPGUの放熱、防振などの機能を求めるのは当然で、さらに性能パラメーター、光学データなどについてチームが設計や製造過程で何度もテストを行って改善する必要がある。これらの設計、開発、テスト、製造プロセスの能力や技術でも鋭思華創は優位にある」と話す。

鋭思華創は、視野角が10°×5°のmini AR HUD、15°×5°のAR HUDおよび20°×5°のAR HUD Proの3モデルを生産する。量産するのはmini AR HUDだ。目から虚像までの距離は約15メートルで、実際の車道に合わせて情報を表示するほか、通行人を認識したり、車道の危険を警告したりする機能がある。

AR HUD PRO

鋭思華創はすでに中国や海外の自動車メーカーから注文を受けている。盧氏は「AR HUDは将来標準化、モジュール化の方向に進む。PGU、光学曲面鏡、構造部品および汎用型のソフトウェア構造から成る製品を自動車メーカーに供給し、車種への対応、ナビゲーションソフト、ひいてはスマートコックピットシステムとの接続がスムーズに行えるようにする」と話す。

そのため、鋭思華創は独特のビジネスモデルを構築している。自動車メーカーにAR HUDを提供する一方で、川上のサプライヤーとして他の企業にPGUモジュールとARアルゴリズムエンジンを供給する。鋭思華創の深圳にある量産工場は完成済みで、PGUの自動生産ラインを建設中だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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