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中国の電気自動車(EV)保有台数は増加し続けており、2022年3月末時点で891万5000台にのぼる。しかし充電スタンドの数はいまだに少ない。関連データによると、中国のEV台数と充電スタンド数の比率は3:1であり、目標とする1:1の実現にはまだ遠い状況だ。
また個人の充電スタンド需要も拡大している。中国の個人用充電スタンドは2021年1月末時点で90万5200台だったが、7月末には106万4200台へと増加している。「社区(居住区。中国の行政区画の最小単位)」では個人用充電スタンドの需要に対し電気容量が限られていること以外に、充電スタンド設置の審査プロセスで問題も起きている。
充電困難やデジタル化が不十分などの問題を解決するために、EVの充電ソリューションを手掛ける「北京世紀雲安新能源有限公司(以下、世紀雲安)」が、2021年に設立された。同社は中国政府が打ち出した「統建統営(充電スタンドの統一的な設置・管理)」政策に沿う運営モデルを通して、社区におけるEVのフレキシブルな充電の実現に注力している。
創業者の王邁氏は、現在大都市の公共充電スタンドではピーク時に待ち時間が長くなるという現象が見られる一方、社区では個人用充電スタンドの設置が困難で、許可の下りる数量がかなり限られていると話す。EVの保有台数が増加し続けるなかで、充電などのアフターサービスも相応のアップグレードが必要とされると指摘した。
社区で個人用充電スタンドを設置するためには以下のプロセスが必要とされる。「管理会社の許可ー住人の申請ー国家電網公司の審査ー手続きー現場視察ー施工」。ここで主に問題となるのは、社区の電気容量が限られており、通常では数台の充電スタンドしか設置できないことだ。社区によっては電気容量の拡大もできるが、関連費用がかかり、申請過程も煩雑になる。
世紀雲安は「統建統営」モデルを通し、社区の車庫、駐車スペース全てに個人用充電スタンドを設置する。同時にAI技術を利用した充電効率の調整で、社区の電力容量を拡大することなく、「フレキシブルな充電」を実現できるという。
王氏は「我々はAI技術で電気容量のフレキシブルな配分を可能にした。複数のEVが同時に充電する際には充電効率の柔軟な配分で使用する電気が社区の電気容量の上限を超えないようにできる」と話す。このフレキシブルな充電を実現するため、世紀雲安はユーザーの行動習慣や電力配分を組み合わせたスマートアルゴリズムを開発した。
同社の充電スタンドは出力が7kW、電圧が220Vで、大量のセンサーを使用している。王氏によると世紀雲安のソリューションでは、社区の全ての駐車スペースで同時に充電することが可能だという。建物の電力負荷とEV充電ネットワークの電力負荷の間でリアルタイムに余剰の電気容量の調節を行う。さらにEV充電ネットワークの中でも各充電スタンド間でのリアルタイムに調節を行うことで充電効率を上げるとともに、充電が集中することで送電網に与える影響を減少させることができる。
現在、社区内における充電率は基本的に30~80%で、利用者は満充電を待たずに充電スタンドから離れることが多い。同時に充電にかかる時間や充電効率に対する要求も高くない。急速充電が可能な充電スタンドはショッピングモールや公共の充電スタンドに多く、社区の充電ニーズと重ならない。
世紀雲安は、複数社の大手不動産管理会社と戦略的提携協議を締結しており、すでに7つの社区で8000以上の駐車スペースにサービスを提供している。王氏は政府の打ち出した「統建統営」は長期的なプロジェクトになると見ており、その市場は大きく、不動産管理会社・国家電網公司・住人という三者間の問題を効果的に解決できると考えている。
また、充電スタンド設置数の増加にともない、同社は総合的なスマートエネルギー管理と充電管理プラットフォームを構築しており、統一的な管理で利用者が安全に充電できるようにする。
世紀雲安には現在数十人の社員が在籍しており、社員は継続的に増やしていくという。また、このほどのエンジェルラウンドで「昆仲資本(Kinzon Capital)」、「豊厚資本(Fenghou Capital)」から数千万元(数億円)の資金も調達している。
(翻訳・山口幸子)
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