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中国の産業用ロボット業界では、2021年の資金調達とM&A(合併・買収)の金額は231億600万元(約4600億円)、件数は96件だった。今年の6月時点では、資金調達の金額は84億6100万元(約1700億円)、件数は38件となった。産業用ロボットの中でも特に協働ロボットが注目されている。
協働ロボットメーカーの「節卡(JAKA)」はこのほど、シリーズDで約10億元(約200億円)を調達、これは協働ロボット分野で1度に調達した金額として過去最高となった。出資にはシンガポール政府系投資会社のテマセク・ホールディングス、ソフトバンクグループ(SBG)傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ傘下のプロスペリティ7ベンチャーズファンドなどが参加した。
節卡は現在「JAKA Zu」シリーズ、「All-in-one communal」シリーズ、「JAKA C」シリーズ、「JAKAMiniCobo」シリーズの協働ロボットなどを製造している。公表データによると、同社は今年上半期のロボット販売台数が前年同期比で200%以上増え、8万時間のMTBF(平均故障間隔)認証を取得して業界記録を更新したという。
従来型の製造業からスマート化への転換が加速する中、現代におけるロボットの「製造業の至宝」としての重要性は言うまでもない。ロボットは技術刷新の重要な足掛かりとなるだけでなく、「採用難」の問題も解決できる。ポストコロナで製造業が大きな転換期を迎え、工場で働きたがらない若者が増えているため、人手不足は無視できない問題となり、製造業企業の人件費も急増している。
人手不足に関しては、ロボットの中でも特に産業用ロボットが速やかに「穴埋め」ができる。
中国は8年連続で世界最大の産業用ロボット消費国となっており、21年の産業用ロボット生産台数は前年比54.4%増の36万6000台、販売台数は同48.8%増の25万6000台だった。国家統計局によると、今年6月の産業用ロボット生産台数は前年同月比2.5%増の4万6100台で、4月と5月のマイナス成長からプラス成長に回復した。
中でも協働ロボットは新型の産業用ロボットとして軽量、敏捷性、機能性、高いコストパフォーマンスなどの特徴を持つため使用シーンも限定されず、人と機械の協働を可能にする。公表データによると、協働ロボットのコストは1時間当たりわずか6.80元(約140円)で、人件費の32.33元(約650円)を大幅に下回る。
最近は協働ロボットが多くの業界で使用され、市場も拡大している。世界の協働ロボット市場規模は2024年末に950億元(約1兆9000億円)に上り、年平均成長率は30%に達する見込みだ。また製造業のオンラインデータバンク「MIR DATABANK」によると、21年の中国の協働ロボット出荷台数は前年比108.5%増の1万5663台だった。
中国企業は技術的な壁の克服が必要
しかし、ロボット業界の競争において外国企業が依然として大きな影響力を持っていることは直視しなければならない。産業用ロボットチェーンを見ると、エンジニアリング企業のABBやロボットメーカーのKUKAといった海外ブランドが利益の大きいハイエンド市場のシェアを握っている。
産業用ロボットの設計は比較的簡単だが、高い精度が求められる。部品は主に川上のコア部品、川中のロボット本体、川下のシステムインテグレーションなどで構成される。中国のロボット企業は現在、主に川中と川下の分野に目を向けており、コスト的に全体の6~7割を占める川上のコア部品はほとんどを海外メーカーが独占している。
川上のコア部品は減速機、サーボモーター、コントローラーに分けられる。うち減速機は材料成形や精密加工、組立精度などに高い水準が求められ、コストの占める割合が最も高い。現在の市場ではRV減速機やハーモニック減速機などが中心となっており、中国では21年の産業用ロボット減速機に対する総需要量が前年比78.06%増の93万1100台に上ったが、まだ大きな影響力を持つには至ってない。
サーボモーターは機械を自動制御する基本部品として、ロボットの作業性能にフォーカスして作られる。またコントローラーはロボットの「頭脳」で、研究開発の技術的なハードルが高い。この2つについては中国ブランドにも大きな成長の余地があるが、技術蓄積などにまだ不足している点が残っている。
長期的に見ればロボットに対する市場の期待は高く、資金の動きも活発化しているが、まだ導入期にある上に中国メーカーは競争力がないため、当面は国際大手との競争で頭角を現すことは難しい。中国製が外国製に取って代わるにはコア部品が大きな突破口になるはずだ。
作者:WeChat公式アカウント 格隆匯新股(ID:ipopress )、巴比倫
(翻訳・大谷晶洋)
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