世界最小の人工心臓を開発した「核心医療」、約40億円を調達 中国A株のIPO計画も

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世界最小の人工心臓を開発した「核心医療」、約40億円を調達 中国A株のIPO計画も

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人工心臓の開発を手がける中国スタートアップ企業の「核心医療(Core Medical)」がシリーズC+で2億元(約40億円)近くを調達した。出資は正心谷資本(Loyal Valley Capital)が主導し、景林投資(Greenwoods Investment)も参加。2022年12月にシリーズCを終えてからわずか3カ月余りでの資金調達となった。

2016年に設立された核心医療は、植込型補助人工心臓(LVAD)と経皮的補助人工心臓(pVAD)の開発を手がけている。自社開発した次世代の超小型磁気浮上式人工心臓「Corheart 6」は現時点で世界最小・最軽量のLVADで、開発から生産までの全プロセスが中国で進められた。22年1月から10月にかけて行われた計50件に上る臨床患者の登録と追跡調査では優れた結果を出しており、手術後3カ月の患者の心機能が大きく改善されたことが確認されている。

Corheart6は類似製品と比べて優れた点がいくつかある。まず、小型で血液適合性が良い。次に、産業チェーンのコアプロセスが独自開発の国産品で、コストをコントロールしやすい。そして、臨床での有害事象の発生率が低い。「現時点の臨床試験結果では、経皮ケーブルによる感染症、脳卒中、溶血、消化管出血、ポンプ血栓症などの有害事象は無く、左心補助装置の使用で起こる不整脈や右心不全など有害事象の発生率が業界平均よりも低い」という。

心不全はさまざまな心血管疾患の終着点と言われており、単一の製品では異なる患者のニーズに応えきれない。同社は、中国に1000万人以上いる心不全患者のニーズを満たすため、pVAD分野でも製品ラインを構築しており、ハイリスク患者に短期および中期の循環不全に関する包括的な治療ソリューションの提供を目指している。

pVADは、体内に入れられた4~5ミリの羽根車がモーターによって毎分4万回以上回転することで、患者の十分な血液循環をサポートする。開発にあたっては、羽根車をいかにして数億回、数十億回、数百億回と安定的に回転させ続けるかが難しく、マイクロモーター設計や駆動技術、シール技術などに高い水準が求められる。

この点で同社のpVADは、独自設計のマイクロモーター、信頼性の高いベアリング設計、ソフトウエア制御などのコア技術をベースに60日間、数十億回を超える安定稼働を実現しており、信頼性と安全性が十分に実証されている。特に血液適合性については溶血指数が国際的な一般製品より70%低く、血液へのダメージが小さいという点で優れている。

pVADシリーズは、多数の動物実験を終えて臨床試験を始めるところで、製品ラインの拡大が見込まれている。

国家心血管病センター(NCCD)が発表した「2021年中国心血管健康・疾病リポート」によると、中国の心血管疾患の患者数は3億3000万人、うち心不全の患者は890万人に上る。人工心臓は、心不全の標準的な治療法の1つとして国際ガイドラインで推奨されている。

中国の人工心臓技術はここ5年で急速に発展し、3種類の中国製LVADが国家薬品監督管理局(NMPA)から上市を承認され、別の1種類が上市の申請段階にある。LVADの植込み件数も年々増えており、70カ所の病院で実施されたLVAD植込み手術は累計363件に上っている。

また、核心医療は中国本土A株の新規公開(IPO)にも着手した。中国証券監督管理委員会(CSRC)の公式サイトによると、今年4月に上場指導登録(上市輔導備案登記)が受理されている。

(翻訳・大谷晶洋)

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