インドネシア、国有企業が電子決済分野に参入 新規サービス「LinkAja」の強みとは

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インドネシア政府が推進する「全国キャッシュレス運動」の浸透を目的として、電子決済サービスプラットフォーム「LinkAja」が2019年6月に始動した。同運動はキャッシュレス決済の利便性を実感してもらい、全国民に金融サービスを提供することを趣旨としている。

LinkAjaはインドネシアの国有企業が手掛けている決済サービスを統合したものだ。LinkAjaはデジタル決済分野の新規参入者として、配車サービスの決済で優位性を持つ「Go-Pay」や「Ovo」などの大手決済サービスを含む多数の競合他社と市場でしのぎを削っている。

しかし、多くの国有企業から支持を得ているLinkAjaには独自の強みがある。同プラットフォームは、都市間鉄道やMRT、ライトレール、道路通行料徴収管理企業などの運営企業と統合される予定だ。現在の登録ユーザー数は2200万人で、今年末までに4400万人まで伸ばすことを目標としている。同サービスのCEOを務めるDanu Wicaksana氏から、同社が掲げた壮大な目標を実現するための戦略について話を聞いた。

ーーLinkAjaの発表が3度も延期されたのはなぜですか。

「当社は3月に運営を開始したが、すべての国有企業の決済サービスを統合するための準備期間がわずか6週間しかなく、その過程において多くの調整や改善の作業が求められた。元々の計画では3月以降にLinkAjaを発表するつもりだったが、当時は大統領選挙が始まる時期にあたっていた。当社の株主が参加者10万人規模の発表会を開くことを希望したが、選挙の時期と重なり許可が得られなかった。そのため延期せざるを得なくなり、選挙が終わってから発表のタイミングを定める予定だった。しかし、その後ジャカルタで一連の抗議運動が発生し、情勢が不安定になったため、同サービスの発表を再度延期せざるを得なくなった。この延期は安全を考慮したものであり、一部の人々が思うように当社の官僚体質や業務体制の問題ではない。」

ーーLinkAjaは官僚体質が強い国有企業に依存しているため、様々な変化に柔軟に対応できる競合他社と渡り合うのは難しいのではと感じている人が少なくありませんが、このような懸念についてどう思われますか。

「我々のチームの半数はインドネシアの大手通信会社「TCash」出身ということもあり、そのような懸念も理解できる。しかし私自身の経験によれば、民間企業も予測通りに急速な拡大を維持できるわけではなく、政府系企業の成長が遅いとも限らない。TCashと他の電子決済プラットフォームが統合したのは、我々がモバイル決済分野の経験を必要としていたからだ。LinkAjaのチームメンバーの多くは外部から募集した専門人材であるため、事業に関して株主から干渉を受けることがあまりない。このような懸念を抱く人々に対し、LinkAjaは決して官僚体質に染まっていないと保証できる」

ーーLinkAjaと競合他社の違いは何ですか。

「ユーザーの生活スタイルを重視しているプラットフォームとは異なり、LinkAjaの位置付けはユーザーの生活における全方面でのニーズを満たすことにある。我々は、給油や通行料を含む公共交通、携帯電話でのローン借り入れ、料金の支払い、小売、Eコマース、寄付、振り込み、ローンを含む金融サービスといった8つの商業取引に重きを置いている。」

ーー登録ユーザー数4400万人達成の目標をどのように実現するつもりですか。

「主要な使用シーンに力を注ぎ、今後も技術力およびパートナーとの関係の最適化を図り、イノベーション力の強化を継続し、ユーザーに多様なサービスを提供できるようにする。現在すでに20カ所の料金所でRFIDリーダーの取り付けが完了しており、今年末までに少なくとも200カ所の料金所で同システムを運用したいと考えている。」

ーーLinkAjaの今後の発展についてお聞かせください。

「我々はLinkAjaの将来的な成長を有望視している。我々と当社株主の目標は、四年以内の黒字化だ。この点で我々は競争を少しも恐れていない。なぜならLinkAjaの主な目的は、全インドネシア人に金融サービスを提供することであり、そのため同じ目標を持つプラットフォームや機関であれば誰とでも協力する意思があるからだ」
(翻訳・虎野)

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