ユニクロが中国従業員の賃金を最大44%引き上げ。学生バイトから「低賃金」「搾取」批判も

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ファーストリテイリングが展開する衣料品店「ユニクロ」が、10月から中国の店舗で働く従業員の給与を平均で約28%、最大で約44%引き上げると発表した。

今回の賃上げは、まず北京、上海、広州、深圳の店舗の正社員と学生アルバイトが対象となり、その後他のスタッフに対しても実施される。ファーストリテイリングは賃上げに3億元(約60億円)をあて、他の地域の店舗についても今後順次、賃上げが予定されているという。

今年7月、ユニクロでアルバイトをしていた学生が、賃金が安く、販売担当なのに清掃業務もさせられるなど「搾取」だとネット上に書き込み、中国のソーシャルメディア微博(Weibo)でも大きな話題となった。当時、非正規社員の時給は十数元から二十数元(約200円から約400円)。この書き込みに対しユニクロ側は、全国の店舗どこも同じで、状況に応じて残業もあり、店舗の清掃は正社員と非正規社員を含めた全員で当番制になっていると応じた。

ユニクロは日本企業のなかでも昇進制度が複雑で厳しいことで有名だ。昇進するには筆記試験と面接試験を受けなくてはならず、一般スタッフから店長、さらにエリアマネージャーになるには順調にいっても数年かかる。ユニクロの昇進ルートは経営者候補を優遇していると元スタッフがSNSに書き込んだり、若年層の離職率が高いなどの問題を指摘されたりしたこともある。

厳しい昇進制度や低い賃金が、ユニクロの中国におけるスピーディな店舗展開を阻んでいることは明らかだ。

2023年8月期の決算発表によると、海外ユニクロ事業の年間売上高が初めて全体の半分を超え、その4割以上を占めるグレーターチャイナ(中国大陸および香港、台湾、マカオ)の売上高は前年比15.2%増の6202億円、営業利益は1043億円で同25%増と、過去最高の業績となった。グレーターチャイナでの業績回復は、大規模かつ急速な出店戦略に支えられたものだ。

決算資料より36Kr作成

ユニクロは中国で毎年80店から100店のペースで新規出店を続けると公表している。グループ執行役員でユニクロのグレーターチャイナ最高マーケティング責任者(CMO)の呉品慧氏は10月11日、メディアの取材に対し「ユニクロの店舗は華南地域で190店舗を超え、今後も10店舗以上の開業を計画している」と述べた。関係者によると、中西部地域での出店ペースは若干落ちているが、華南・華東地域では引き続きハイペースを保つという。

ユニクロは現在、北米に67店、欧州に68店しかないが、グレーターチャイナでは1031店を展開し、国・地域別で最多となっている。

ユニクロは日本の従業員に対しても既に賃金引上げを実施している。ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏はメディアに対し、賃金引上げの目的は日本の終身雇用制度が企業の発展に及ぼす悪影響を取り除くためで、型にはまらない人材を採用したいと考えており、年齢にかかわらず能力があるならそれに見合う報酬が与えられると語っている。

中国市場の発展は今のところ順調とはいえ、ファッション業界では熾烈な競争が繰り広げられており、中国風要素を取り入れる「国潮」ブームの影響も無視できない。ユニクロが中国での賃上げに踏み切ったのは、優秀な人材確保のためであることは間違いない。

グレーターチャイナの売上高は海外事業の約半分を占めるが、減少傾向にある(決算資料より36Kr作成)

ファストリ、海外事業けん引し過去最高益に ユニクロ中国も急回復

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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