現代自やBYDにフル液晶メーター供給、海外売上高比率が5割強。中国自動車電子部品「天有為」が上場へ

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中国EV最大手の比亜迪(BYD)は、2024年の新エネルギー車(BEVやPHEVを含む)年間販売台数が前年比41.3%増の427万台だった。米フォード・モーターやホンダを抜いて世界のトップメーカーの仲間入りを果たすことが確実な情勢となった。

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BYDの好業績を支えているのが、8000社にものぼるサプライヤーだ。方正証券によると、BYDのサプライヤーのうち少なくとも20社がすでに上場し、シャーシや熱マネジメントシステム、スマート電子部品、ボディ、内外装を提供することで長期提携契約を交わしているという。

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そしてまた1社が事業拡大を目指し中国A株市場へ上場しようとしている。BYD人気車種のセダン「秦PLUS」やコンパクトSUV「宋pro-DMI」向けにフル液晶メーター(インパネ)を提供するサプライヤー「黒龍江天有為電子(Heilongjiang Tianyouwei Electronics)(以下、天有為)」だ。

BYDの販売台数増加に伴い、天有為の業績もこの数年、同業他社をはるかに上回る伸びを見せている。実際には、天有為が長期契約を結んでいる20社のうち、傘下に現代自動車(Hyundai Motor)や起亜(Kia)、自動車部品メーカーの現代モービス(Hyundai Mobis)などを擁する韓国の現代自動車グループが最大の顧客であり、BYDは2番手にすぎない。

中国の自動車用電子部品市場は巨大だが、大部分は海外メーカーに押さえられている。調査会社の蓋世汽車研究院や平安証券によると、2020年の中国自動車計器市場では、ボッシュやコンチネンタル、デンソーなど海外メーカーが約67%と大きなシェアを握っていた。

天有為はこうした状況のなか急速に業績を伸ばしてきた。同社の新規株式公開(IPO)資料によると、売上高は2021年から23年、および24年上期にそれぞれ、11億6800万元(約260億円)、19億7200万元(約430億円)、34億3700万元(約760億円)、20億3900万元(約450億円)だった。24年上期には現代自動車グループ向け売上高の割合が60%に上り、BYDは約13%だった。また税引後純利益はそれぞれ、9735万1000元(約21億円)、3億7700万元(約83億円)、8億9400万元(約197億円)、5億4200万元(約119億円)で、売上高、純利益ともに大幅に増え続けている。

天有為は2003年に設立され、自動車計器を主力とする。これまで20年以上にわたり、自動車業界の動向や顧客の要望に応じて製品の改良を重ねてきた。会社設立から2014年までの10年間は主に従来型の電子式計器盤を扱い、上汽通用五菱(SGMW)や浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)、奇瑞汽車(Chery Automobile)などが主要顧客だった。

2015年以降は新エネルギー車が普及し始め、インパネから計器まで大量の液晶パネルが必要になった。そこで天有為はそれまでに蓄積してきた技術をもとに、液晶パネルやデュアルパネル、オプティカルボンディング(光学貼合)、スマートコックピットなど重要技術の開発に取り組み、2019年までにフル液晶インパネやデュアルインパネなどを開発した。この時期に、現代自動車グループや長安汽車(Changan Automobile)、BYDなどが天有為の大口顧客となった。

注目すべきは、天有為の顧客が中国や韓国のほかにも、米国、スロバキア、インド、マレーシア、トルコ、ベトナム、メキシコなど世界各地に広がっていることだ。同社の海外売上高は2021年に全売上高の13.96%だったものが、24年上期には57.48%と半分以上を占めるまでになった。

中国国内の自動車用電子部品市場は拡大を続け、自動運転やスマートコックピットなど、新エネルギー車に快適さを求める人が増えていることから、天有為は研究開発に力を入れ、製品の種類を増やすためIPOによる資金調達を決めた。今回の資金は主に、電子部品のスマート工場建設、スマートコックピット生産拠点の整備、研究開発センター開設、情報化システム構築のほか、運転資金に充てられる。投資額は約30億400万元(約660億円)に上るという。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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