中国車載電池「SVOLT」、オフロード車やHEV対応の新製品発表 「25年海外出荷が3割以上に」

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中国車載電池「SVOLT」、オフロード車やPHV対応の新製品発表 「25年海外出荷が3割以上に」

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中国長城汽車(Great Wall Motor)系の車載電池メーカー「蜂巣能源科技(SVOLT Energy Technology)」が1月8日、成都で年次イベント「第5回バッテリー・デー」を開催した。この1年間の成果を総括するとともに、新製品発表もした。

2024年、SVOLTの搭載量は着実に増加してきた。車載電池業界団体の中国汽車動力電池産業創新連盟(CABIA)の統計によると、SVOLTの中国国内の車載電池搭載量は2024年11月に、前年比68.35%増の2.34GWhとなり、市場シェアは3.49%に上昇、業界第5位となった。1月から11月までの累計搭載量は14.21GWhに達し、中国第6位となった。

2024年下半期に、SVOLTの出荷台数は急激に増加し始めた。同社の楊紅新会長はバッテリー・デーで、「7月には、複数の顧客の新車種発売に伴い、薄型の『短刀電池』を搭載したモデルの売れ行きが急激に伸びた。10月には注文が急増し、11月には2カ月連続で自動車への搭載量で5位となった。」と振り返った。

成都で開催された年次イベント「第5回バッテリー・デー」

SVOLTの顧客構造も改善されている。親会社の長城汽車は依然として最大の顧客だが、出荷比率は28%にとどまっている。中国自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)は第2の顧客で、出荷比率は24%、長城汽車と独BMWグループの合弁会社「光束汽車(Spotlight Automotive)」が14%、欧米自動車大手ステランティスが10%、中国の新興電気自動車(EV)メーカー零跑汽車(Leapmotor)が9%となっている。

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楊会長は2024年の業績を発表した後、2025年の4つの新たなトレンドを予測し、それに対応したさまざまな製品を発表した。

一番のトレンドは、オフロードタイプのEVの販売が爆発的に伸びることだ。「長城汽車のほか、長安汽車(Changan Automobile)、奇瑞汽車(Chery Automobile)、北京汽車集団(BAIC Group)、そして比亜迪(BYD)など、オフロードEV市場は急速に成長している」と楊会長は述べた。

これを受けて、SVOLTもオフロード車向けにカスタマイズした専用バッテリーを発売した。二重構造の頑丈な設計で、バッテリーのみで最長120キロ走行でき、15分で急速充電できる。 楊氏によると、2025年1月8日時点で、SVOLTのオフロード用バッテリーはすでに10万台の車両に搭載されたという。

第二のトレンドは、EVの航続距離がすでに主な外出シーンに対応し、超急速充電が急速に普及することだ。そのため、SVOLTは第三世代の短刀電池を打ち出し、超急速充電版と長寿命版をそろえた。

充電レート「6C」の超急速充電版は、前世代に比べて性能が2倍に高まり、10%から80%までを8分半で充電できる。最後の80%から100%までの充電には9分しかかからず、これは業界の平均的な急速充電バッテリーより60%以上も短い。5000回以上の急速充電が可能な長寿命版は、前世代より性能が67%向上し、15年または60万キロの寿命を実現した。

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第三のトレンドとして、楊会長は商用車と乗用車のハイブリッド化が新たなトレンドになると考えている。SVOLTは、商用車と乗用車の双方で使用できるハイブリッド車(PEV)用バッテリーも発売している。

第四のトレンドは、商用車向けバッテリーの急速充電性能と寿命の改善が急務となっていることだ。これを受けて、SVOLTは長距離を走る商用車向けバッテリーを発売し、長寿命版と4C超急速充電版を展開している。

最後に、楊会長はSVOLTの出荷量予測を発表した。2025年にはバッテリー出荷量の倍増が予想され、20種類以上の新型車種への搭載や、15件以上の新規プロジェクトの立ち上げが見込まれており、そのうち30%以上は海外への出荷となるという。

*1元=約21円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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