電動化×自動運転で「トラック界のテスラ」目指すーー中国・零一汽車、26年販売5000台目標
中国発の大型EVトラックメーカー「零一汽車(ZERON)」がこのほど、新たに12億元(約280億円)の資金調達を実施した。車載電池大手CATL傘下の溥泉資本(CATL Capital)、自動運転ユニコーンMomenta(モメンタ)、EVメーカー蔚来汽車(NIO)傘下の蔚来資本(NIO Capital)が共同で出資を主導し、安徽霊通集団(Anhui Lingtong Group)や方広投資(FG Venture)、テマセク傘下のInnoVen Capitalなども参加した。同社は2025年半ばに、シリーズAで5億元(約120億円)を調達した。
零一汽車は2022年に設立され、大型EVトラックと自動運転技術の開発を主力事業とする。創業メンバーには、自動運転トラック開発の図森未来(TuSimple)の共同創業者・黄沢鏵氏、トラック大手の三一重卡の元社長の張紅松氏、中国重汽(Sinotruk)元幹部の張偉氏らが名を連ねる。
これまでに大型EVトラック「驚蟄」と「小満」の2モデルを投入した。2025年末時点の累計販売台数は約1600台で、そのうち約1200台が2025年中に納車された。2026年は販売台数5000台を目標とし、黒字化の達成も見込む。
黄氏は、大型トラック業界は産業構造が非常に閉鎖的なため、ハードウエア基盤を持たないアルゴリズム中心の企業では、技術の実装を進めるのが難しいと指摘。車両設計に精通し、ソフト・ハードを高度に統合することが、自動運転の強固な土台になるとの考えから、アルゴリズムではなく車両そのものを起点とした事業戦略を選択したのだという。
また、従来の大型トラックメーカーがサプライチェーン依存型の開発モデルを採用してきたのに対し、バッテリー統合技術や電動アクスル構造、熱管理システムなど中核部分の自社開発を進めている。
バッテリーはシャシーに直接組み込む一体化構造を採用し、スペース効率と安全性を高めた。独自のスマート制御システムによりトルク制御、エネルギー管理、熱管理を統合的に制御する。またモーター、トランスミッション、アクスル、パワーテイクオフを統合した電動アクスルの量産も実現し、駆動効率の向上につなげている。
車両には高強度鋼材を採用し、車体強度を25~100%高めながら20~30%の軽量化を実現した。新モデルでは自動運転レベル4を見据え、センサーインターフェースやバイワイヤ制御の冗長設計をあらかじめ組み込んでおり、ハードウエアの差し替えやソフトウエア更新に対応できる構造とした。
同社が長期目標として掲げるのは、「車両・AI・データ・ビジネスモデル」を全て自社で完結させる体制を構築し、大型トラック分野の「テスラ」となることだという。
まずは信頼性の高いハードウエア基盤を整備し、故障の多い大型トラック分野でユーザー体験を改善するとともに、自動運転機能の実装を進める。さらに運行データを蓄積し、AIモデルの高度化につなげ、将来的には無人輸送ネットワークの構築を視野に入れる。
中国の道路貨物輸送市場は依然として分散度が高く、数百万社もの中小企業で構成されている。黄氏は2030年ごろに自動運転が無人化段階に到達すると見ており、その際には自社技術を活用して輸送効率を高め、分散している輸送力の統合を進めることで物流産業の構造変化につながるとの見方を示した。さらにEV化やスマート化の進展に伴い、大型トラック分野では参入障壁が高まりつつあり、世界的な完成車メーカーが新たに生まれる可能性があると指摘する。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)