水も薬剤も使わないAI鉱石選別機、清華大発スタートアップが約50億円を調達
人工知能(AI)を活用した鉱石選別機を手がける中国企業「霍里思特(Honest Technology)」はこのほど、シリーズCで2億元(約50億円)近くを調達した。出資は招商局資本(China Merchants Capital)が主導し、京国瑞基金や大興産投なども参加。資金は主に、コア技術の開発や海外市場の開拓などに充てられる。
霍里思特は2010年に北京で設立された。清華大学精密機器学科・国家重点研究室の出身者を中心とする技術陣を擁し、非鉄金属・鋼鉄・非金属・放射性鉱物・石炭など幅広い鉱種に対応できる中国でも数少ない選別機メーカーに成長した。
X線画像⽣成技術と識別アルゴリズムで鉱⽯を選別
中国政府が二酸化炭素(CO2)排出削減と鉱業のグリーン化を進める中、鉱石選別は、過酷で効率の低い手作業から自動化へ、水を大量に使い薬剤汚染も懸念される湿式選別から乾式選別への転換が加速している。
同社の主力製品は、X線画像生成技術と識別アルゴリズムを組み合わせた鉱石選別機だ。医療用X線CTスキャン技術を品位検査に応用し、石油探査のデータ収集技術をX線検査機の中核部品に転用するなど、異分野の技術を独自に融合させた点が特徴だ。原鉱の選別・廃棄から廃石の精鉱回収、屑石炭の除去まで主要工程をカバーし、自動化と乾式選別の実現により水資源とエネルギーの消費を大幅に削減する。

AIを活用した鉱石選別機を手がける「霍里思特」
技術⾯で3つの強み
技術面の強みは三つあるという。第一に、15年以上の開発実績を持つ高性能X線検査機だ。検査速度・精度が世界トップ水準に達しており、中核部品も自社開発のため保守が容易で、顧客の運用コストを抑えられる。
第二に、主要鉱石の大規模な選別データをもとに構築した識別アルゴリズムプラットフォームだ。鉱石内部の構造的特徴を正確に識別し、エアノズルで鉱石と廃石を選別することで、後工程のエネルギー消費や薬剤使用量を削減する。
第三に、防水・防泥・防塵・防爆の4重防護を備えた堅牢な設計だ。エアノズルの噴射精度は99.9%に達し、X線検査機の出力も低く抑えており、過酷な鉱山環境でも高い安定性を発揮する。
鉱石選別機の出荷台数は2年連続で年間100台を超えた。製品は、金鉱の紫金鉱業(Zijin Mining)や資源の中国五鉱集団(Minmetals)、エネルギーの国家能源集団(CHN Energy)、鉱山の陝西煤業(Shaanxi Coal Industry)といった大手企業に納品されており、海外市場でもコロンビア、トルコ、ブラジル、インドネシアなど多くの国や地域に輸出されている。また、アンチモン、リン、蛍石、ウランなどの希少な鉱石の選別にも中国で初めて使用された。製品はコストパフォーマンスに優れており、投下資金を概ね1年以内に回収できるという。

X線画像生成技術と識別アルゴリズムを組み合わせた鉱石選別機
南⽶や東南アジアへも輸出
販売面では、鉱石選別機の年間出荷台数が2年連続で100台を超えた。紫金鉱業(Zijin Mining)、中国五鉱集団(Minmetals)、国家能源集団(CHN Energy)、陝西煤業(Shaanxi Coal Industry)といった大手資源・エネルギー企業への納品実績を持つ。海外ではコロンビア、トルコ、ブラジル、インドネシアなどに輸出しており、アンチモン・リン・蛍石・ウランなど希少鉱石の選別への国内初の適用事例も生まれている。製品の投資回収期間は概ね1年以内という。

浙江省湖州にある製造拠点
生産面では、浙江省湖州市安吉の敷地面積4万平方メートルのスマートファクトリーが稼働済みだ。次世代X線検査機やマルチスペクトル技術の開発も並行して進めており、今後は主力のAI鉱石選別機事業を軸に、対応鉱種や用途・産業の多角的な拡大を図る計画だ。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)