元シャオミ幹部のバリスタ・ロボット、100億円超を調達 100都市で1000台導入

ロボットバリスタ「XBOT」で知られる中国のスタートアップ「影智科技(inSpace)」はこのほど、シリーズAとBで資金を調達した。シリーズAの2億元(約50億円)は香港の簡坤資本(GPTX)が、シリーズBの3億~5億元(約70億~120億円)は複数の政府系ファンドや米ドル建てファンド、産業投資家などが共同で出資した。飲食用ロボット企業としてはこれまでで最大規模とされる。

inSpaceは2022年に、中国スマートフォン大手の小米集団(シャオミ)でエコチェーン部門副総裁やプロダクトマネージャーを務めた唐沐(Thomas Tang)氏が立ち上げた。業界が人型ロボットの家庭や工場への普及を目指して競うなか、同社はより実用化しやすい飲食分野に狙いを定め、コーヒーやソフトクリームに活用する戦略を選んだ。

飲食シーン向けに、エンボディドAIロボットオペレーティングシステム「XOS 3.0」を独自開発し、共通のAI頭脳で異なる形状や役割のロボットを制御する「一脳多形 」アーキテクチャを採用した。飲食に特化したAIモデルに400万杯を超えるコーヒーを淹れた実データを組み込み、“小脳”が動作制御を担当する。飲食シーンに関わるスキルを50種類以上蓄積しており、異なるロボット形態にも対応するため、コーヒーやソフトクリーム、カクテル調合などさまざまな分野に横展開できる。

【動画】AIで消費者好みのラテアートつくる「バリスタロボット」、中国スタートアップが開発

VLA(Vision-Language-Action)モデルに依存するアプローチとは異なり、XBOTではVLAを異常処理にのみ使用し、大部分の定型作業は専用モデルで処理している。これにより、演算コストを抑えながら安定性を向上させることができた。また、現場の実データを蓄積し、強化学習と人のフィードバックを組み合わせてモデルを最適化、データ収集からモデル更新、製品改良へとつながる開発サイクルを構築した。

同社は現在、バリスタロボット、ソフトクリームロボット、調理ロボット、ロボットキッチンカーなど4タイプの製品を開発している。

バリスタロボット「XBOT C3」は設置面積がわずか1.83平方メートルで、6軸ロボットアームを備え、繰り返し位置決め精度は±0.02ミリだ。1時間に80杯のコーヒーを作ることができ、フル充電なら150杯の連続作業が可能。また、AIアバターを映す43インチのディスプレイとAIエージェント「愛宝店長」を搭載、客の好みに合わせたラテアートのカスタマイズにも対応する。

ソフトクリームロボット「XBOT I3」はバリスタロボットの機能を異なる形態のロボットに応用したものだ。本体はさらにコンパクトな作りで、1時間にソフトクリーム60個以上を提供でき、失敗率は0.5%未満、25万カップの提供に耐える設計が施されている。

ソフトクリームロボット「XBOT I3」

2026年末までに人型調理ロボット「XBOT X1」を量産・販売する計画だ。7軸のアーム2本と車輪型ベースを備え、アームの協調精度は±1ミリ以下だ。中国・輝羲智能(Huixi Technology)の「R1」チップを搭載することで、ロボットに最大500TOPSのAI演算性能を持たせ、手に取る、作る、置く、手渡すといった一連の作業を自律的に実行できる

設置面積が8平方メートルのロボットキッチンカー「XBOT CUBE」もリリースした。コーヒーやソフトクリーム、カクテル、焼きソーセージなど幅広いメニューの提供に対応する。

ソフトクリームロボット「XBOT I3」

ビジネスモデルとしては、RaaS(サービスとしてのロボット)を採用する。浙江省義烏市の商業施設では、バリスタロボット「Lite」が1日平均約200杯を提供し、月間純利益は3万元超、投資回収期間は6〜8カ月としている。さらに、全カテゴリの食品経営許可を取得していることを強みに、原材料のサブスクリプションやAIエージェント利用料、メンテナンス費用などを通じて、継続的な収益モデルを構築した。

同社によると、バリスタロボットは世界100都市以上で累計1000台超を導入した。2025年の売上高は1億元(約24億円)を超え、26年の受注残高は3〜5億元に達する見込みという。

深圳発ロボット企業、日本進出ラッシュ 大阪万博が契機に(上)

*1元=約24円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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