中国AIチップ・燧原科技、科創板IPOへ 売上8割がテンセント依存
中国人工知能(AI)向け半導体メーカー「燧原科技(Enflame Technology)」はこのほど、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板」への上場審査を通過した。60億元(約1400億円)調達を計画しており、資金は次世代AIチップの研究開発や事業化などに充てられるという。
燧原科技は、国産AIチップの主要企業として、しばしば摩爾線程(Moore Threads、ムーア・スレッド)、沐曦股份(MetaX)、壁仞科技(Biren Technology)と並び「国産GPU(画像処理半導体)四小龍」と称される。摩爾線程と沐曦股份は2025年12月に科創板へ、壁仞科技は26年1月に香港証券取引所へ上場している。燧原科技のIPO審査通過で4社が資本市場に出そろう。中国国産チップの発展を資本市場が後押しする象徴的な節目とみられている。
ただし、燧原科技を「GPU四小龍」に含めるかどうかは見方が分かれる。同社のチップは特定用途向けの「ASIC」に分類され、汎用GPU(GPGPU)路線の各社とは技術系統が異なるためだ。燧原科技を除き、汎用GPUの天数智芯(Iluvatar CoreX)を「四小龍」に数える見方もある。
2018年3月設立の燧原科技は、AI学習(トレーニング)と推論に最適化したドメイン固有アーキテクチャー(DSA)を採用する。AI専用チップを手掛ける中科寒武紀科技(カンブリコン)や、ファーウェイ(華為技術)の「昇騰(アセンド)」と同じ技術路線に位置づけられる。
同社の売上高は2023年の3億100万元(約70億円)から、25年には9億9000万元(約240億円)へと急拡大した。年平均成長率は約81%に達する。一方、研究開発費がかさみ、累計の純損失は43億3900万元(約1000億円)に上る。黒字化はなお実現しておらず、同社は達成時期を早くて2026年とみる。
特筆すべきは、中国IT大手の騰訊控股(テンセント)が燧原科技の筆頭株主であり、最大の顧客でもあることだ。2025年はテンセント向け売上高が全体の8割超を占めており、今後はより幅広い市場で独自の競争力を示せるかが課題となる。
業界全体で見ると、国産化は依然として初期段階にある。目論見書によると、2025年の中国AIアクセラレータカード出荷量は約400万枚で、NVIDIA(エヌビディア)が約55%、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が約4%を占めるなど、米国勢が依然として市場を主導している。中国メーカーではカンブリコンは約2.9%、燧原科技と沐曦股份はそれぞれ約1.7%だった。
大規模言語モデル(LLM)の学習・推論需要を背景に、中国のAIアクセラレータカード市場はここ2年で急成長している。エヌビディアが依然として高いシェアを維持する一方、国産AIチップの調達比率も上昇しており、中国メーカーには事業拡大の余地が広がっている。
*1元=約24円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)