東大OB創業、ロボット80種つなぐデータ基盤 中国・艾欧智能が数十億円調達

ロボット向けデータインフラを手掛ける中国スタートアップ「艾欧智能(IO-AI Tech)」はこのほど、数億元(数十億円)の資金調達を完了した。順為資本(Shunwei Capital)や松禾資本(Green Pine Capital Partners)、深創投(SCGC)が共同で出資を主導したほか、大手ロボットメーカーの戦略投資も獲得した。資金は主力製品の開発や組織拡充、グローバル市場の開拓に充てられる。

艾欧智能は2023年設立、ロボットおよびエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)に向けた、データ・ロボット・AIモデル・実際の利用シーンまでをつなぐデータインフラの構築に注力している。創業者の陳相羽CEOは東京大学で博士号を取得し、中国IT大手のテンセントで四足ロボットプロジェクトの責任者を務めた。共同創業者の高飆CTOは北京大学で博士号を取得し、検索大手・百度(バイドゥ)傘下の自動運転タクシー(ロボタクシー)サービス蘿蔔快跑(Apollo Go)のシニアアルゴリズムエンジニアを務めた経歴を持つ。

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エンボディドAIが技術検証から実用化のフェーズへと進むなか、ロボットの性能を向上させるうえで最も重要な基盤となるのが学習データだ。インターネット上のテキストや画像で学習できる大規模言語モデルとは異なり、ロボットは現実環境の空間や動作のプロセス、人や物との関わりなどを理解し、現実世界からのフィードバックを通じてアップデートを重ねる必要がある。現在、こうしたデータを高効率かつ大規模に収集する方法はまだ確立されていない。

こうしたニーズを背景に、艾欧智能はデータ収集、管理、モデル学習までの各主要プロセスをカバーするプロダクトラインを構築し、ロボット遠隔操作システム「TeleXperience」、実世界の実演データ収集システム「SenseXperience」、データ管理プラットフォーム「EmbodiFlow」を提供している。

TeleXperienceは、人の動作・視点・動きの意図をさまざまな形態のロボットに低遅延でマッピングすると同時に、タスク実行の過程で生じたデータを記録、その後のアノテーション(タグ付け)やモデル学習に活用できる。すでに80種類以上の人型ロボット(ヒューマノイド)、ロボットアーム、搬送ロボットなどに対応している。このシステムは2025年の「国際ロボティクス・オートメーション会議(ICRA)」の双腕ロボット競技会で、世界88チームのなかから最優秀応用賞に選ばれた。

一方、SenseXperienceは現実世界で人が実演したデータの収集に使用する。同社は早い時期から全身モーションキャプチャや視覚、触覚などマルチモーダル技術を採用し、100万件にのぼる実演データを蓄積してきた。業界が「データの規模」から次第に「データの質」を重視するようになるなか、艾欧智能は軽量化バージョンをリリース。ヘッドセットや腕装着型データ収集ユニット、グリッパーといったモジュールで収集コストを削減し、大規模な導入を可能にした。

データ処理の段階では、EmbodiFlowがアノテーションや検証、品質検査、可視化、フォーマット変換などのプロセスまでカバーする。またロボット分野で広く使用される「LeRobot」「MCAP」「HDF5」などのデータ形式に対応し、生データをより簡単にAIモデルの学習に使える状態へ変換できるようにした。

陳CEOは、「これまでの3年間、私たちはデータのクローズドループ構築に重点を置いてきた。今後はロボットを実際の製造現場や生活のシーンに本格導入していきたい」と語る。艾欧智能は現在、産業、商業、農業、家庭などでの活用を模索しており、グローバル市場の開拓もさらに進める計画だ。

*1元=約24円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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