製品未公開でも評価額1700億円へ、ファーウェイ「天才少年」が挑む身体性AI
中国のエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)開発企業「墨奇智能(Morphi Robot)」はこのほど、エンジェルラウンドで10億元(約240億円)を超える資金を調達を完了したと発表した。アリババグループとテンセント(騰訊控股)が共同で主導し、藍馳創投(Lanchi Ventures)、君聯資本(Legend Capital)など、著名投資機関10社以上が共同で参加した。資金調達後の評価額は70億元(約1700億円)を突破したという。
2025年8月に設立された墨奇智能は、物流スタートアップ「iMile」の共同創業者である高文礼氏が最高経営責任者(CEO)を務める。また、最高技術責任者(CTO)の黄青虬氏は、かつてファーウェイ(華為技術)の高度人材募集プログラム「天才少年」に抜擢されてスマートカーソリューション事業に加わり、ファーウェイの自動運転システム「ADS」の1.0から4.0に至るまでのアルゴリズムの技術的飛躍と量産化を主導した経歴を持つ。
同社は、自動運転分野で実証・成熟された手法を、エンボディドAIの研究開発プロセス全体へ体系的に転用することを目指している。具体的には、データの閉ループロジックやエッジサイドのモデル最適化、マルチセンサーフュージョン、さらに100万台規模の量産品質管理システムを活用し、技術検証から大規模量産に至る実用化サイクルの短縮を図る。
しかし現時点では、具体的な製品はまだ正式に発表されておらず、顧客や受注状況に関するデータも公開されていない。
墨奇智能によると、同社は「商用シーンを先行させ、段階的に家庭向けに移行する」という戦略を採用している。まず、同質性の高い商業サービスシーンにロボットを展開し、実際の運用環境で物理世界での操作データを蓄積させ、データフライホイールに基づきモデルの反復的な改良を行う。そして、最終的には家庭向けへと拡大していく。長期的には、自律的な進化能力を備えた汎用家庭用ロボットの構築を目標としている。
中国の調査会社IT桔子のデータによると、26年1~6月期、中国のエンボディドAI分野での資金調達総額はすでに900億元(約2兆2000億円)を超え、前年同期比で5倍増となった。また、資金調達件数は300件を超え、137%増加した。中でも、調達額が10億元を超える大型資金調達案件が相次いでいる。
*1元=約24円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)