山登りも荷物運びも助ける「着るロボット」 中国ULS、6~7時間駆動の新製品
外骨格デバイス(パワードスーツ)を開発する中国スタートアップ「傲鯊智能(ULS Robotics)」はこのほど、消費者向けアウトドア用デバイス「VIATRIX X」をリリースした。同社は産業用製品で培ったパワーアシスト技術を使い、ウォーキングや登山といったアウトドア用デバイスの開発を進めている。
外骨格デバイスは、モーターや制御アルゴリズムによって体の動きを補助する装着型の装置だ。創業者の徐振華氏は、カーエレクトロニクス分野のほか、リハビリテーション支援ロボットなどを手がける傅利葉(Fourier)といった企業の設立に携わってきた。傲鯊智能も当初はリハビリテーション支援ロボットを手がけていたが、後に産業用外骨格デバイスの開発へと移行した。電力設備の巡回点検や森林災害の対応、国境警備といった体力的に過酷な作業を伴う分野向けに、重量物の運搬を補助する製品の開発に取り組んできた。
2023年前後には、消費者向けアウトドア用デバイスの成長性を見込んで、新製品の開発を始めた。「VIATRIX X」のターゲットは、週末にトレッキングを楽しむビジネスパーソンや、アウトドアスポーツを趣味とするユーザーだ。軽くて長時間の使用が可能な外骨格デバイスを求める声は多いものの、これに応える製品はこれまでほとんど無かった。
消費者向け製品で重要なのはアシスト力や重さ、駆動時間、装着感のバランスだ。アシスト力を高めようと思えばモーターが大きくなり、駆動時間を延ばすために電池を増やせばデバイスが重くなる。また、体と接するデバイスの発熱にも気を使わなければならない。
「VIATRIX X」は重さ(電池除く)が2.58kg、駆動時間が6~7時間に上り、電池は簡単に交換できる。また、自動車の駆動用モーターで一般的なフラットワイヤを採用した独自の動力システムを搭載している。これによって抵抗と発熱を低減でき、前世代の製品よりも性能が20~30%向上した一方、40%の小型化に成功したという。
制御システムは、反応速度が0.5~1ミリ秒に抑えられた適応型アルゴリズムでユーザーの動きを検出し、アシスト力を調整する。また、エネルギー管理システムとで、動きに応じたアシスト力の調整も可能だ。上り坂の移動や荷物の運搬などで出力を高めるブーストモードや、電池残量が少なくなっても基本的なパワーアシストが継続するようアシスト力の上限を段階的に制限する機能が付いている。短時間の強力なアシストと、長距離ウォーキングに必要な駆動時間の両立を目指したものだ。


フローティング機構「FLOAT 360」
装着感も大きなポイントとなる。例えば、山地を歩く際には体をひねったり、足を大きく開いたりする動きが頻繁に伴うが、こうした動きにデバイスがついてこれないと、ユーザーがデバイスとの摩擦や締め付けを感じることもある。「VIATRIX X」はユーザーの自然な動きを妨げないように、体勢に合わせて関節が動くフローティング機構「FLOAT 360」を採用した。
販売チャネルとしては、スウェーデンのアウトドアブランド・Haglöfs(ホグロフス)と提携し、同ブランドの実店舗に消費者が製品を試せる体験コーナーを設置した。試着してもらうことで、オンライン販売では分からない装着感やアシスト効果を実際に体験してもらい、外骨格デバイスに対する消費者の心理的なハードルを引き下げることにつながる。

ホグロフス店舗での製品展示
外骨格デバイス分野はここ数年、投資家から注目されているが、メーカーは依然として産業・リハビリテーション用の製品開発に力を入れており、消費者向け製品市場はまだ発展の途上にある。消費者向け製品の普及にかかるコストや価格戦略、販売チャネルの実効性については引き続き検証が必要だ。
(翻訳・大谷晶洋)